ここからは航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに、解説していただきます。企業の3月期末決算が出そろったところですが、好調、不調の二極化が鮮明になる中、航空業界の赤字が際立っています。

J.K. 国内大手の「JAL」と「ANA」で、いずれも減収が響いているようですが、同じ赤字でも中味には違いがあるようですね。

鳥海: JALは売上高が前期比65.3%減の4812億円、最終損益は2866億円の赤字(前期は480億円の黒字)で2012年の再上場後で初の赤字。ANAHDは、売上高が前期比63.1%減の7286億円、最終損益は4046億円の赤字(前期は276億円の黒字)で過去最大の赤字。ANAでは新たな貨物便を米ロサンゼルスに就航させるなど、すべての貨物専用機を需要が旺盛な成田空港の発着路線で事業拡大を目指す。JALは今期の業績見通しの開示を見合わせた。ビジネス客は完全には回復しないが、観光に強い傘下の格安航空会社(LCC)を強化する。

J.K. 移動の制限がなくなり、飛行機の搭乗客が元通りに戻るには、かなり時間がかかりそうな中、各社はどんな努力をしているのでしょうか。

鳥海: ANAHDはおよそ200の企業や団体におよそ750人、JALもおよそ130の企業や団体におよそ1700人のグループ従業員を出向させている。またANAHDは今年の夏と冬の一時金ゼロにする方針が明らかになっている。

J.K. 今後はどのようになりそうでしょうか。

鳥海:今後はワクチン接種が鍵になってくる。世界ではワクチン接種が進むにつれ、観光需要が回復してくる。まずは国内旅行、次に海外旅行になってくる。ハワイでは半分の接種を終えたことで屋外でのマスク義務がなくなり、既にアメリカ本土からの観光客でいっぱい。日本もワクチン接種が進むとまずは国内旅行、そして海外旅行と回復してくるでしょう。海外も年末年始には行けるかもしれません。