第一生命経済研究所の藤代宏一さんに、解説していただきます。

藤代: 地方銀行を含めた銀行のサービスが変わってきたことについて

J.K. 一昨日銀行法などの金融関連改正法案が改正されましたね。

藤代: 主に2つの変化があります。一つは、預金を集めることに以前ほど積極的でなくなっていること。もう一つは、貸し出し以外で稼ごうという動きが広がっているということです。

J.K. 銀行のビジネスモデルは、預金を集めて貸し出すことですよね。

藤代: 低い預金金利でおカネを集め、それを比較的高い金利で貸し出しに回す。これがよく知られた「伝統的」なモデルです。

ただし、先進国全般で起きていることは「借金をして投資をする企業が減っているので、集めたお金を貸す先がない」という現象です。

なのでおカネを集める必要性が低下しています。また預金口座そのものから手数料を払ってもらう動きです。口座の開設、通帳の発行、そして預金預け入れに手数料を課す銀行も出てきています。さすがに預金がいらないというのは大袈裟ですが、確実に変化しています。

J.K. 預金を集めないというのでは、常識が変わってきていますね。

藤代: これまで日本の銀行は、あらゆるサービスを無料で提供してきましたが、一方で欧米では口座を持つだけで手数料がかかるケースも多いです。そこで最近はメガ・地銀、ネット系を問わず、手数料の安さを競う動きが逆回転しています。

そして徐々にですが、利用実績のない口座には、口座維持手数料を課す動きもみられています。10年間利用がない口座は年間1000万近くも発生していて、銀行の大きな負担となっています。預金者目線では有料化は好ましくないことですが、日本全体としてみれば、民間企業としての銀行が適正な利益を獲得し、経営の健全性が向上することで経済全体の安定感が増すという二面性があります。今まで手数料の安さが異常だったこと、そもそも銀行は無料で口座を提供する必要・理由がない、こうした視点を踏まえると、預金者としても納得感が出てくるかなと思います。また金融関連改正法により、保険や証券など金融商品の取り扱い、通販や地域商社、人材紹介、広告など銀行業務以外により地域に根ざした参入できる、ということが伝えられています。