藤代: アメリカの経済対策はやり過ぎなのか?を考えてみます

J.K.: アメリカの株価は相変わらず絶好調ですね、1.9兆ドルの景気対策とは別に2兆ドルの景気対策という報道もあります。

藤代: 政権に近い経済学者からも「やり過ぎ」を指摘する声があるのは事実です。景気が過熱して、過剰な投資が発生したり、物価が急上昇したり、そうしたリスクを指摘する声があります。アメリカ経済は、2月の中旬以降、コロナの感染状況が良くなってきた上に、一人あたり1400ドル(15万円)の給付金が支給されて、かなりのペースで回復しています。レストランの予約件数は、2019年対比で8割程度まで戻して、製造業の景況感指数は過去30年でダントツに高い伸びを示していますから、これ以上景気が過熱して大丈夫なのかという声は確かにあります。

J.K.: バイデン政権はどう説明しているんですか?

藤代: 財務長官のイエレンさんは「景気対策は、やり過ぎて経済が壊れてしまうリスクよりも、規模が不足して景気が腰折れしてしまう方が危ない」といった趣旨で発言をしています。リーマンショックの経験を踏まえての発言で、人々は一度怖い経験をすると、将来に悲観的になって消費や投資におカネを振り分けなくなり、結果として景気回復が遅れてしまうので、そうならないようにしましょう、という意味合いです。

J.K.: 景気が完全回復するまで、やり過ぎなくらいにやる、という覚悟ですね?日米首脳会談もありますが、今後はどのように出てくるのでしょうか。

藤代: イエレンさんは、短期的には経済が多少過熱しても大きく取り扱わないで、経済活動の規模が、コロナがなかった場合に実現していたであろうレベルに到達するまでアクセル全開でいくという考えです。昨年の歴史的落ち込みの埋め合わせが完了するまで、景気対策をするという構えです。個人的には日本もコロナ悪影響を完全に埋め合わせが完了するまでは、やり過ぎなくらいやっても良いのでは?と思います。人々の恐怖心が残るうちは、景気を悪くさせてしまいますから、ここが勝負時。菅総理には会談の結果、ぜひアメリカとの歩調を経済でも合わせてほしいと思います。