J.K. 電気料金の値上げ、これはどういう理由なのでしょうか。

加谷: ふたつの理由があります。ひとつは、このところ原油価格が大幅に上昇していることです。電気料金は火力発電に用いるLNG(液化天然ガス)の価格を反映する仕組みとなっています。日本の場合、LNG価格は、基本的に原油価格と連動しますから、原油価格が上昇すると電気料金も上がることになります。このところ、コロナ後の景気回復期待から原油価格が急上昇しており、これによって電気料金も上がるわけです。

J.K. それではもうひとつの理由はどういうものでしょうか。

加谷: もうひとつは、再生可能エネルギーの負担金です。政府は再生可能エネルギーを普及させるため、再生可能エネルギーから作られた電力を大手電力会社が買い取り、その費用を電気料金に上乗せする仕組みを2012年からスタートさせています。標準的な家庭では、その負担額は年間9000円程度でしたが、4月からこの金額が上がり、年間1000円程度負担が増える見通しです。

J.K. 値上げはツライですが、電気料金は今後、どうなるのでしょうか?

加谷: 基本的に電気料金は、原油価格に連動する仕組みになっているので、原油価格が上昇するとどうしても値上がりは避けられません。中東など産油国は、昨年コロナ危機で打撃を受けたことから、価格を上げて利益を確保しようとしており、減産を行っています。しばらくの間、原油価格は上昇傾向が続くとの見方が一般的です。ここから大幅に値上げという可能性は低いですが、大きく値下がりすることはあまり期待しない方がよいと思います。

J.K. 経済評論家の加谷珪一さんでした。