藤代: 2021年の景気と注意点について

J.K. 2020年はコロナで大変な一年でしたが、株価は上昇しましたね。

藤代: コロナで経済活動が大幅に制限され、かなり経済的に苦境に立たされた方が多くいらしたにもかかわらず、景気の期待感を示す株価は年末に一段と上昇し、およそ30年ぶりの高値を付けました。日経平均は3月に付けた安値から7割近く上昇です。株価だけみると日本経済が絶好調と錯覚してしまうくらいで、「景気」という言葉が何を意味するのか、わからなくなる一年でした。

J.K. 株価上昇は、それほど2021年の景気回復期待が強いということですか?

藤代: 基本的にコロナの終息期待を反映したものだと思います。2020年の経済は国内外ともにかなりの落ち込みでしたが、21~22年は欧米中心にワクチンの投与が進むということもあり、世界的にかなりの勢いで景気が回復すると思います。それに加え世界的に景気対策でたくさんおカネが刷られたので、その一部が、半ば投機的な動きで、株式市場に流入したのだと思います。

J.K. 期待が持てる2021年の日本経済。どこに注目すればよいでしょうか。

藤代: 当然コロナの感染状況ですが、一方で全てをコロナに関連付けないという姿勢が重要になってくると思います。例えば、個人消費についてはコロナ以外の要因として2019年10月の消費増税が未だ、かなり効いていると思います。また賃金についても「コロナで業績が厳しいから上がらない」と言えばそれまでですが、コロナ以前からの問題として、企業が賃上げに消極的という構図があり、現在もそれが続いているように思えます。何でもコロナで説明する思考パターンが付くと、全部コロナのせいにして本質を見失いがちになる恐れがあります。身の回りで起きた経済現象が、本当に理由はコロナなのか、じっくり考える必要があると思います。