J.K.:昨日の東京証券取引所が終日取引停止、各紙一面で取り上げていますね。

藤代: 日本では約15年ぶりの全面停止ですが、実は、香港や台湾では台風で取引停止になったり、NYでも数年前にシステムトラブルで似た事例があります。もちろんマイナスですが、一日であれば日本経済全体に与える影響は限定的だと思います。

J.K.:さて今朝のトピックスですがどんなことでしょう

藤代: 昨日発表された日銀短観について。

J.K. 企業の景況感を示す指標でしたよね?どんな結果でしたか?

藤代: 業種別にみると、日本で一番大きい産業、自動車が改善しました。厳しい状況ですが、生産・販売台数も回復していますので、最悪期脱出を確認といったところ。一方で、宿泊・飲食はかなり厳しい結果でした。前回の6月調査から、ほんの僅かな改善でした。この業種は競争が激しいので、元から利益率がギリギリのところで営業していましたから、少しでも回転が落ちると、一気に赤字になってしまいます。

J.K.そういった業種への支援が必要ですよね?どういった策がありますか?

藤代:言うまでもなく感染対策と並行してGotoなどがありますが、重要なのは資金繰り支援。銀行が貸し渋ると、企業は直ちに倒産してしまいます。その点、日銀短観で示された「貸出態度判断DI」この結果は安心できます。企業からみた銀行の融資姿勢を示す指標です。コロナ禍前との比較で銀行が貸し出し基準を厳しくした様子はありません。実際、倒産は増えていません。失業率も跳ね上がるほど上昇していません。逆にいえば、ここが狂い始めると、かなりマズイと思います。

J.K. 政府の果たすべき役割が大きくなっているということですね?

藤代:コロナ禍という極めて特殊な状況なので、政府はやり過ぎなくらい対策を打っても良いと思います。冗談混じりの表現として「失業が発生して、失業保険を支給するくらいなら、穴を掘って穴を埋める公共事業をやって失業を減らす」という考え方もある。失業の発生は経済全体でみた場合、とてもコストが大きいので、あらゆる手段を講じて惜しみなく対策を打つのが適切だと思います。