藤代: 新総裁選出後の経済政策について考えます。

J.K.: 突然の辞意表明。先行きはどうでしょう。

藤代: アベノミクスという政策パッケージが終わる、といった不安の声が多いです。辞意表明の報道が伝わった直後に株価急落したことが、それを物語っています。

一方で週明けからは菅官房長官の首相就任を有力視する動きから株価は戻しました。菅さんであれば、基本的にアベノミクスを踏襲するだろうとの期待があるように思えます。

J.K.: 8年近く前に打ち出されたアベノミクス。もう一度まとめていただけますか?

藤代: 3本の矢で構成されています。

1番目は大胆な金融政策。日銀に黒田総裁を送り込んで、強力な金融緩和を実施。現在も続いています。

2番目は機動的な財政政策。政府が積極的におカネを使って経済成長率加速を狙うスタンス。

3番目は成長戦略。デジタル化、働き方改革など経済の効率性、生産性向上を狙うもの。これは評価が定まっていません。現時点で市場関係者の注目はどこにあるかというと2番目の矢、財政政策だと思います。

J.K.: コロナの経済対策ということでもありますよね?

藤代: 日本は、財政再建と経済成長のどちらを優先するべきか、長らくこの問題に直面しています。アベノミクスでは消費税を2度引き上げた一方で、コロナ危機の対応では空前の規模でおカネを使って経済成長を優先する姿勢をみせたように思います。その点、菅さんは石破さんや岸田さんとの
比較でおカネを使うこと、景気対策に積極的だといわれています。これは新聞などでも紹介されている一般的な見方でしょう。株価が戻したのもこの文脈で説明可能だと思います。菅さんが首相になれば経済成長を優先するアベノミクスのスタンスは大きく変わらないと予想されます。