藤代 最近の株式市場から読み取った意外なリスクについてです

J.K.: 意外なリスクとはなんですか??

藤代: ここでいうリスクとは、将来の不確実性という意味です。一般的には「危険」という意味で使いますが、経済の文脈では良いことも悪いことも含めて将来の不確実性を意味します。状況がよくなる事を「アップサイドリスク」と言いますが、株式市場では最近ウィズコロナ、アフターコロナ銘柄とよばれるコロナに強い企業、例えばGAFAMの株が売られています。その反面、コロナの打撃を受けている企業の株が買われています。これは日本でもアメリカでも似た構図です。

J.K.:それはどういった理由ですか?

藤代:第一にこれまでのトレンド変化があまりにも急だったので、行き過ぎた部分が巻き戻されています。ただ、それだけではなく一部の投資家は、人々の予想よりも早い段階でコロナが終息して経済が一気に正常化していく「アップサイドリスク」に注目しているように見えます。私の感覚では、今の世の中の空気は、コロナとの長期戦が大前提になっている節があるというように思えますが、最近のワクチン開発成功とその大量供給が可能、というニュースを見ていると、思ったより早く世界がコロナ前の状況を取り戻す可能性がなきにしもあらず、と思えてきます。

J.K. ということは?

藤代:現在企業は、都心のオフィスを手放す、リアル店舗の小売店を閉鎖して対面サービスの人員削減をしてオンライン販売に特化するとか、個人であれば都心のマンションを売って郊外に引っ越す等といったコロナとの長期戦を前提にした行動がいくつか話題になっていますが、予想よりかなり早い段階でコロナの状況が好転すると、そうした行動が裏目に出てしまう可能性もあります。最近の株価の動きをみていると、「アップサイドリスク」も検討する時期に差し掛かっているとも思います。