藤代 最近の日本経済について2つ。一つは日銀短観の結果、もう一つは定額給付金の景気刺激効果についてです。

J.K. まず、日銀短観はどんな結果でしたか?

藤代 1日に発表された日銀短観。この指標は企業が回答した日本経済の現状をまとめたものです。全体的に非常に厳しい結果でしたが、少し意外な動きがありました。それは中小企業からみた銀行の融資基準が緩んだことです。企業が最も恐れるのは銀行が融資を断ることで資金繰りがつかなくなり、倒産することですが、今は政府と日銀が企業の資金繰り対策をかなり重点的にサポートしているので、その効果が現れている印象です。過去の景気後退局面では、銀行が融資基準を厳しくしてしまうことで、倒産が増える傾向にありましたが、今回は資金繰り環境が安定していることが特徴的です。このままいけば倒産や失業が抑制されると思います。

J.K. 次に定額給付金の経済効果についてはどんな情報がありますか?

藤代 まず消費全体の動向として、5月の後半くらいから日本の消費は全体的に持ち直しているというデータがあります。スーパー、ドラッグストア、ホームセンター等の売り上げが堅調で目立って伸びているのは家電量販店です。経済産業省が毎週公表しているデータによるとPC、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコンがいずれも好調で、これは定額給付金が家電に回っている可能性を示唆しています。

J.K.: これを機に買い替え、という動きが出てきているのですか?

藤代 今から10年くらい前。家電エコポインが実施されていて、当時、家電がよく売れたことを思い出してください。一般的に家電の買い替えサイクルは10年前後ですから、今まさに当時購入した製品が、買い替えのタイミングに差し掛かっているのだと思います。偶然にもこのタイミングで定額給付金が支給されたと思います。定額給付金が、ほとんど貯蓄に回ってしまうとの声もありますが、足もとの動向を見る限りは、それなりに日本経済を刺激している可能性が高いと思います。