藤代 おはようございます、今朝はコロナ危機によってヨーロッパ経済の仕組みが変わりつつあることについてです。

Grover :ヨーロッパはコロナ感染による被害も経済の打撃も大きいですね。

藤代 イタリア、スペイン、フランスの被害が特に大きく、つい最近まで厳しい外出制限がかけられていました。当然のことながら、経済へのダメージは大きく、経済指標は垂直落下するような状況です。ヨーロッパはGDPに占める観光、特に海外からの受け入れによる収入が大きいこともあり、経済は停滞の長期化が懸念されます。

Grover :そうした中で経済の仕組みにどんな変化がありましたか?

藤代 コロナ問題終息後の経済再生に使うための「復興基金」の創設に向けた動きが具体化しています。簡単にいうと、EU加盟国が共同で財政資金を調達し、それを被害が大きい産業と地域に分配して、デジタル化などIT投資に使うという案が進められています。この動きは一見すると違和感がないように思うかも知れませんが、EUとしては歴史的な第一歩です。というのもEUは経済統合を進めているとはいえ、各国の財政、すなわちお財布は別勘定だったからです。

Grover :財政の統合に向けた動きがあるということですね。

藤代 この類の話が出ると毎度起きるのは、ドイツ、オランダなどヨーロッパ北部の財政が健全な国々と、イタリア、スペインといった南部の財政が弱い国の対立です。いつものパターンですと、ドイツとオランダがイタリア・スペインに対して辛口で財政の統合に向けた動きを嫌うのですが、さすがに今回は例外で一つのお財布、すなわち「復興基金」を使って皆でお金を集めて、それをイタリア、スペインが有利になるように分配するという案が前向きに検討されつつあります。金額そのものは大きいわけではありませんが、重要な変化です。