藤代: 最近のアメリカの巨大企業の株価上昇についてお話します。

Sascha 経済はかなり停滞しているようですが、株価は持ち直していますね。

藤代:正直なところ経済の弱さに対して、株価は不可解なほど上昇しています。日本もそうですが、特にアメリカはその傾向が顕著です。象徴的な出来事として、GAFAMと呼ばれる5社、グーグル、アップル、Facebook、アマゾン、マイクロソフトの株式時価総額が日本全上場企業の合計を上回りました。この5社の株価は3月の暴落を取り戻し終わって、史上最高値近辺にあります。

Sascha なぜ、そこまで株価が上昇するのですか?

藤代: 一つの理由はアメリカの経済対策です。中央銀行FRBの金融緩和と、政府の財政出動の併せ技が強く効いています。アメリカの失業率は4月には15%近くに達するなど、実体経済は芳しくありませんが、家計に対する現金給付、中小企業の従業員の給与を、政府が事実上肩代わりするような措置(PPP)が下支えとたいます。大胆な政策を打っていることもあり、投資家にとっては、政府が民間を見捨てない、という安心が生まれ、株価上昇に繋がっているとと考えられると思います。

Sascha 景気対策頼みの色彩が強いのですか?

藤代:それもそうですが、先ほどの5社の株価上昇の本質的理由は、顧客データを持っているという強さがあります。コロナ以前から続く傾向ですがこの5社は、データ保有量が圧倒的に多く、社会インフラの一翼を担っていると言っても過言ではありません。それなのでそれを活かした広告料、サブスク、クラウドなどといった多様な分野で、いかなる状況でも稼ぐことができます。それが投資家に評価されています。ちなみに私個人はこの5社がない生活は不便でゾッとします。こうして考えると、社会に必要とされている会社は、利益が上がり、株価も高くなるという当然のことが起きているように思えます。