藤代: 最近の世界経済について、いくつか速報性の高いデータを紹介します。

J.K.: 経済活動がストップしている国も多い中、厳しいデータが多いのでしょうか?

藤代: 実は今週発表されたデータでは、アメリカの製造業の企業にアンケートを行った、ISM製造業指数というデータが、注目を集めました。やはり3月の数値は2月に比べて悪化したのですが、その低下の幅は予想よりも小幅でした。リーマンショック級に落ち込んでも不思議ではなかったのですが、いくつかの業種が生産を増やしたため、全体の落ち込みが和らいだと思われます。生産が増えた業種は、食料品。次に化学品、マスクや衛生関連製品の増産。そして、IT関連財です。これはテレワークなど、データ通信が盛んになることを背景に半導体の生産が活発ということを意味していると思われます。

J.K.: やはりテレワークは、世界的なトレンドになりそうですね。

藤代: 日本は働き方改革を促す目的でテレワークが盛んになっていましたが、ここへ来て一段とその流れが加速しています。その観点から日本の経済統計みると、やはり半導体を中心にIT関連財の生産が、ほぼ唯一、伸びています。また同時に、これだけ世界経済が逆風にさらされているにもかかわらず、半導体関連の輸出はしっかりとプラスを保っています。世界的にIT関連財の需要が一段と高まっているのだと思います。

J.K. 明るい材料があるというのは、景気の点で、喜ばしいですね。

藤代: 半導体、IT関連は日本、韓国、台湾、中国、アメリカ、ドイツくらいしか生産をできる企業がありませんから、そういう意味では、世界の超重要インフラである「通信」を支えるという非常に重要な役割を果たしていると思います。テレワークができるのも、こういう技術があってこそですから、日本の製造業の技術力、競争力は心強いと思いました。