藤代: 新型コロナウイルスと経済について、今週のまとめをお話しします。

J.K.: 株価の乱高下、経済対策などたくさんありましたね。

藤代: 経済対策といえばアメリカで桁違いのものが合意に至りました。規模はGDP比で10%、220兆円。ダントツで過去最大です。内容は、大人一人当たり13万円、こども5万5千円の現金給付措置などが含まれます。それを10日くらいで決定したので驚くほど迅速です。そして米国の中央銀行FRBは無限の資産購入も決定しました。資産とは、民間が保有する国債、住宅ローンを証券化したもの、社債が対象です。これをFRBが買い取って、民間部門に現金が行き渡るようにする政策です。今週、世界的に株価が急上昇した背景はこれです。

J.K.: 一方で、感染が急速に拡大しているアメリカ経済の状況はどうですか?

藤代: 目を疑うようなデータがいくつかあります。瞬間風速でいえばリーマンショックを遥かに上回る急減速です。特に深刻なのは雇用。アメリカではレイオフという、企業が一時的に従業員を解雇する雇用慣行があります。昨日発表された失業保険申請件数は328万件、リーマンショック時の5倍でした。だからこそ個人への現金給付が迅速に決定されるわけですが、裏を返せばそれだけ、アメリカでの被害が深刻ということです。

J.K.: 金融市場を含め、しばらくは経済の混乱が続きそうですか?

藤代: 新型コロナウィルスが収まらない以上、経済の混乱は続くと思います。ただし、金融市場ではパニックが収まりつつあります。先週までは安全資産の「金」までも投げ売りの対象になってきましたが、さすがにそうした「全部売り」現象は収まってきました。これは政策総動員が効いている証です。現在のところ、金融面が崩壊して、それが実体経済に悪影響を与えるリーマンショック型の金融危機が起きるような状況は回避できています。