藤代: きのう発表された政府の景気判断についてです

J.K.: 今朝のニュースにも出ていましたね

藤代: 内閣府は月例経済報告といって、毎月日本経済の景気認識を示しています。昨日発表された2月の景気の総括判断は「景気は、緩やかに回復している」というものでした。この判断は強い違和感を覚えます。というのも、月曜に発表された19年10-12月期の実質GDPは前期比年率▲6.3%という、目を疑うような弱さだったからです。

J.K.: そもそもなぜそのような弱い結果になったんですか?

藤代: 昨年10-12月は、10月の台風19号が一時的に経済を下押ししましたが、根本的な要因は消費増税です。これによってGDPの6割を占める消費が11%のペースで減ってしまいました。事前の見方では、今回の消費増税は、増税幅が2%と小さく、しかも、多くの軽減措置が講じられたので、14年との対比で影響が小さくなるとの声が支配的でしたが、それは見当違いだったことが判明してしまいました。私はこの点について、素直に間違いを認めます。

J.K.: 数値が弱いのに、景気は回復・・・ということでしょうか?

藤代: あくまで私の推測ですが、政府は消費の落ち込みが一時的と判断して、その上で1月以降は力強くリバウンドするという希望的観測を前提にして、「回復している」という判断を貫いているのだと思います。ただこの判断は、ひいき目に見ても、客観性に欠けています。「景気が悪い」と国民の不安を煽るのも良くないですが、景気の弱さを認めず、対応が後手後手に回るのは最も避けるべき事態です。ただ、今回政府は景気が回復しているという判断を据え置きましたが、さすがに政府も本音では相当な危機感を持っているのもまた事実だと思います。なので何もしないということはないと思います。予想される経済対策としては、6月末終了予定のキャッシュレス決済のポイント還元の延長などが検討されると思います。