藤代: オリンピックイヤーということを踏まえて、オリンピックが終わっても景気がよさそうな業種は何か?ということについて考えてみたいと思います。

J.K.: 金融の視点はもちろん、就職や転職にも重要ですね

藤代: いくつかありますが、一番は建設・不動産です。こう言うと「人口が減るのに?」、「オリンピック終わるのに?」というリアクションが必ず返ってくるのですが、少なくとも現在は「活況」で「ブーム」というくらい「景気が良い」というデータが多いです。

J.K.: なぜ、そんなに建設・不動産の調子が良いのですか?

藤代: この景気の良さは8年位前に始まっているのですが、起点となったのは震災の復興需要です。土木を中心にかなりの案件がありました。そこに東京五輪です。2013年に開催が決定してから東京を中心に大型案件が加わりました。また、その間並行して政府の公共事業も少しずつ増えていました。大震災以降、防災への備えが重要という認識が広がりました。そしてこの2年は台風の被害が相次いでいますので、更に防災対策の公共投資が盛んになっています。

J.K.: オリンピックは今年だけですし、これは何年も続くのでしょうか?。

藤代: 現在、オリンピックの案件はほぼ全て出来上がっているので、既にオリンピックによる建設関連の需要は減っています。とはいえ建設労働者が不足するなかで、オリンピック関連の仕事を優先していた部分があるので、まだかなりの案件が未着手の状況にあります。これらの案件だけで向こう数年は持ちそうです。そして重要なのは、東京など大都市には1970~90年頃に大量に建設された建物が建て替えの時期を迎えてきます。一般的に建物の寿命は30~50年といわれていますので、少なくとも向こう10年くらいは建て替え需要が豊富にあると考えられます。景気の波というよりは構造的に景気が良さそう、ということです。建物を作る建設、それを売る不動産業、ともにしばらくは景気がよさそうです。