藤代: 消費増税後1か月の日本経済が少しずつ見えてきたので速報をお伝えします。

J.K.: 色々な声がありますが、どうですか?

藤代:最も速報性に優れた経済指標、内閣府が発表する景気ウォッチャー調査は、10月の数値が大きく落ちました。日本経済は急減速した模様です。ただし、人々の将来不安が壊滅的ダメージを受けた様子はなく、先行きの期待を示す数値は上昇しました。10月は消費増税の駆け込みの反動、台風の影響によって経済活動が大きく阻害されました。ただし、人々はそれを一時的要因とみなし、先々の回復期待を維持していると思われます。

J.K.: 先々の回復期待とは、どのようなものですか?

藤代: ここで言う回復とは、ベコっと凹んだ10月を起点にするもので、鋭いものではありません。内閣府が集計した現場の声には、キャッシュレス決済のポイント還元が思いのほか効果的という声があり、実際の還元額も順調に消化されています。このポイント還元に加えて、駆け込みの反動が終われば、基のトレンドに戻る、という期待です。海外ではアメリカと中国の貿易交渉が少しずつ進んでいます。製造業を取り巻く状況が好転すれば、個人消費の減速を一部埋めることも期待されます。

J.K.: 一方、10月はラグビーがありました。経済効果はどうでしたか?

藤代:これは2020年の東京五輪などにも共通して言えるのですが、外国人観戦客の来日、グッズ販売、スポーツバーの活況などが日本経済を刺激する反面、大部分の人は試合をテレビで観戦します。

外出機会が減って、景気に下押し圧力がかかります。当然、こうした消費の減速は一時的なものなので、長い目でみれば悪影響はないのですが、内閣府が集計したコメントには、ラグビーの日本戦と野球の日本シリーズが重なり来客数が減ったという声がありました。スポーツイベントの経済効果を否定するつもりはありませんが、盛り上がると景気が回復するという単純なものでもないので、注意が必要です。