藤代: 先のG20会合などで各国政府が暗号資産に対し、否定的な見解を示しているその背景についてお話します

J.K.: ニュースにもなっているフェイスブックが発行を計画しているリブラですね。

藤代:日本を含むG20各国政府は、暗号資産、仮想通貨などに対して総じて否定的なんですが、特にリブラについては、ビットコインと違って決済・送金機能に強みを持つことが予想されていて、しかも規模が大きいので各国の金融当局が、もしもの事態を恐れ、警戒を示しています。

JK: マネーロンダリングなど犯罪対策も注目されていますが、金融政策など経済への影響もあるんですか?

藤代: リブラの特徴としては、日本円やドルなど伝統的な普段私達が使っている通貨に近い性格を持つ予定です。通常、日本やアメリカは自国通貨である円やドルを政府、中央銀行が発行・管理して景気をコントロールします。ただしリブラは各国通貨を一つにまとめた「通貨バスケット」というものに連動するように設計され、民間企業が発行する通貨のようなものが存在することになります。そこで従来の枠組では考えられないことが起こるかもしれません。端的にいえば、政府・中央銀行の管理が行き届かないので、通貨のようのものを発行しないで欲しいということです。

J.K.: これまでの経済政策が効かないと、混乱が起こるかも、ということですね。

藤代: 今日はわかりやすさを優先して、政府が恐れている最悪の事態を例にあげます。仮に暗号資産が世界共通の通貨として流通を始めたとき、ある国で銀行破たんが相次いだり、経済危機があった場合、どうなるでしょうか?人々は銀行預金を一斉に引き出すと共に、その国の通貨を売って、暗号資産に切り替えるでしょう。そうするとその国の通貨は価値、為替レートが大幅に下がり、紙切れになる可能性もあります。これまでの似たような危機では、その国の金融当局が通貨の金利を高くして、一方的な流出を食い止めたりしてきましたが、それが機能しなくなる可能性があるんじゃないかと心配するわけです。