藤代: 株価が年初来の高値を更新したことを踏まえ、株式投資についてお話します。

J.K.: 日経平均は一昨日22500円を回復しましたね。

藤代:背景として米中貿易戦争が一時停戦に入ったこと、こうした停戦協定は過去何度も破棄されたため、あまり信用できませんが、ひとまず安心です。それから英国のEU離脱についても、英国とEUが合意に至る可能性が出てきましたので、安心感が広がった形です。今日はこうした短期的な環境からの株価の話に加え、資産形成に役立つような長期的視点で株価を考えてみたいと思います。

J.K.: 例えば老後生活資金の準備に役立つような株式投資ということですね?

藤代:株価の波を捉えるのはプロでも難しいですが、より長期間で分散投資をすれば、最後は皆が平均的な姿に収まる傾向がありますから、今日お話しすることは、個人の資産形成に役立つと思います。今朝は日経平均株価など、日本株全体の動きに連動する投資信託を買った、という前提で話をします。過去のデータでは、それを長期間持っていると年5%程度の利益になります。

J.K.:5%というのは銀行利息と比較するとかなり高い印象です。どういう計算ですか?

藤代: 1970年以降の平均的な収益率です。バブル崩壊、リーマンショックという事件を含んでいても年間5%のプラスです。ただし問題は株価の変動幅の大きさです。

ここで目安となる数値をご紹介します。1年間の変動幅としてはマイナス20%からプラス30%が一つの目安になります。

これには統計的な裏付けがあって、その数値に収まる可能性は70%弱。そして1年で半分、あるいは1.5倍になる確率は5%くらいです。

意外と低い印象ではないでしょうか?この数値を参考にすれば、20%の損失や30%の利益は70%弱で起こる、つまり「よくあること」です。

実際の株式投資で20%の損失が出ると不安になると思いますが、実は「よくあること」なので慌てないことが重要です。

反対に30%の利益もよくあることなので、「自分は天才」と浮かれないことが重要です。そして半分や1.5倍になる確率は5%ですから「滅多にない異常事態」と考えることができます。