藤代: 日銀がマイナス金利を、今月中に更に下げるかもしれない、という話です。

J.K.: マイナス金利については、そもそも導入の経緯からおさらいしてもらえますか?

藤代: 直接的なきっかけは、2014年にECB(欧州中銀)がマイナス金利を導入して一定の成果を挙げたことが大きいと思います。日本は超低金利政策をほぼ20年実施してきたのに、なかなか成果があがらなかったのですが、ECBの成功をみて、日銀も一か八かやってみようという流れが少なからずあったと思います。今回ECBが金利を更に下げたので、日銀も追随するかもしれないというわけです。私はそうならないと予想していますが、マイナス金利の深掘りを予想する声が増えているのは事実です。

JK: もし更なるマイナス金利を導入すると、プラスの効果はあるのですか?

藤代: 私個人の見解としては、逆効果だと思います。金利を下げると景気にプラスの影響があるというのは、現在のアメリカのように、金利が2%くらいあって、金利を払うことの負担がそれなりに大きいケースです。これは間違いありません。

しかし20年もほぼゼロ金利という世界にいた日本人は今さら金利が下がっても、大胆に借金して設備投資・消費をする人は少ないでしょう。消費・投資行動の決定に金利がという要素入っていない可能性があります。

J.K.: 一方で、資産形成が難しくなるという負の影響もありますよね。

藤代: 従来の私自身の考えの反省でもあるのですが、今の日本のマイナス金利は人々の利子所得(預金、国債)を奪ってしまう効果が大きいと思います。今さら預金金利が下がったところで不平を言う人は少ないと考えていたのですが、年金2000万円問題の過熱を目の当たりして思ったことは、預金金利が高くならないと、人々の節約意識が強まるという副作用が案外大きいということでした。

私は日銀がマイナス金利を深掘りすることはないと予想していますが、もしあれば、あまり良い成果を生まない可能性が高いと考えています。