藤代: 今朝は米中貿易戦争の過熱、そして金融市場の混乱についてです。

J.K.: 今週は日本もアメリカも株価が大きく下げましたね

藤代: 8月1日にトランプ大統領が、9月1日から中国製品に対して追加の関税を表明したことで、米中貿易戦争が激しくなると、嫌気されました。今回新たに関税対象になるのは、PC、スマホ、ゲーム機など、消費者が直接使うものが全体の4割を占めます。関税は輸入する人、つまりアメリカの消費者が負担することになるので、こうした製品は今まで対象外だったのですが、今回いよいよそこに手を付けた訳です。これはトランプ政権が本気で中国と戦う姿勢をみせたことを意味します。

J.K.: 一方の中国も対抗しているようですね

藤代: 実のところ中国側の狙いを読むのは難しいのですが、通貨人民元の下落、元安を通じて輸出を守ろうとしている模様です。8月5日に中国当局は人民元のレートを元安方向に誘導しました。ちなみに中国は日本と違って市場主導の変動相場制ではなく、中国の金融当局が方向感を決めます。この人民元相場ですが、今までは1ドル=7人民元を越える元安のレベルにはならなかったのですが、およそ11年ぶりにこの水準を跨いだことで、中国は「アメリカが関税ならこっちは通貨安で勝負だ」という具合にファイティングポーズをとった形です。これは金融市場の参加者を驚かせました。

J.K.: この貿易戦争が日本経済に与える影響はどうですか?

藤代: 色んな意味で不明確です。実のところ中国のアメリカ向け輸出は、さほど減ってはいませんし、中国の製造業が著しく傷ついている様子もありません。同時にアメリカの消費者の負担が増えている様子もありません。そうした中で、日本への影響としては、先行きの不透明感が高まることを通じて、国内企業が投資計画や生産計画を先延ばしにしたり、キャンセルすることが懸念されます。国内では消費増税もあるので、少し心配です。