J.K. : お電話が繋がっています。藤代さんおはようございます。ここのところのNY市場はずっと下げている中で、トランプ大統領の来日。来月のG20を前にファーウェイ排除による、世界景気の不透明感が拡がっています。

藤代 中国対アメリカという国同士の、応酬というレベルではなく、トランプ大統領は個別の企業を名指しするようになり、そうした意味では不透明感については警戒する必要性があると思います。そして消費増税の先送りの可能性がにわかに現実を帯びることになりそうです。

J.K.: 政府は予定通り10月に10%へと引き上げと繰り返していますね。

藤代: 政府の公式見解はそうですが、足もとの日本経済の風向きの悪さを踏まえ、市場関係者を中心に先送りの可能性が意識されています。そうした中で注目すべきは本日、内閣府が示す月例経済報告。もしここで日本の景気判断が下方修正されると、消費増税の先送り議論が盛り上がりそうです。

J.K.: その月例経済報告はどんな内容になりそうですか?

藤代: 現在のところ政府は「緩やかに回復している」という判断を示しています。これは2013年7月以来、基本的に変えていません。つい先日発表された1~3月期のGDPは+2.1%と、はっきりとしたプラス成長だったので、この表現を据え置く可能性が高いように思えます。ただGDPの数値は統計の計算上の違う要因に相当押し上げらえていますので、実際はマイナス成長に近い内容です。こうしたなかで政府は「回復」という言葉を残しつつも、前後の文章に慎重な言葉を加え、「先行きの下振れリスクが高まっている」という警戒感をにじませてくる可能性が高いように思えます。

J.K.: 結局現状で景気は悪いということですか?

藤代: 景気が良い悪いというのは、前後の比較、立場、時間軸によって幅がありますが、ここでの議論は「消費増税に耐えられるか?」という視点です。増税でマイナス成長になってしまえば、税収は増えないどころか、長い目でみると、かえって減ってしまうので、こうした視点で考えると、現在の景気は「微妙」「心許ない」という感じです。これは政府も同じだと思います。