藤代: 平成の最後にお伝えしたい経済の見方をお示しします。

J.K.: この30年日本経済にとっては厳しかったのではないでしょうか?

藤代: 平成の幕開けは1989年。日本経済が異常に強かった年です。今でこそ日本人は慎重といわれていますが、当時の日本人は自信に満ち溢れ、失敗を恐れることなく大胆な投資をしていました。NYのロックフェラーセンタを買収したりして、日経平均株価も4万円に到達しました。

J.K.: 問題はその後ですよね・・・・。

藤代: 平成不況、失われた20年といった言葉で表現されるとおり、辛い経験をたくさんしました。その結果、日本経済は世界に置いていかれた、という認識が定着しました。この話はテレビ等で散々見聞きしていると思います。そうした際に裏付けとなるデータは、国全体の経済規模を表すGDPです。それが米国に大きく劣っていたり、中国に抜かれたりしたことをもって日本経済の不振が表現されます。

J.K.: 30年間で経済は弱いというイメージが定着してしましましたね。

藤代: ただ日本と米国の一人当たり実質GDPをみると、日本経済が他国に比べ、大きなダメージを受けた様子は全くありません。1980年を100とした日本とアメリカの一人当たりGDPの成長曲線は、1980年代後半のバブル期に日本が大きく米国をリードした後、2000年代前半に追いつかれます。しかしそれ以降はほぼ互角の伸びを示しています。国全体のGDPは人口減少によって伸びていませんが、一人当たりのGDPでみた場合、日本経済の活力はほとんど失われていないというわけです。経済的視点で平成を振り返ると、高成長を謳歌した昭和に比べて暗い30年という評価が多いですが、普段とは別の視点で日本経済をみると「そもそも失われていない」のもまた事実です。もう少し自信を取り戻しても良いのでは?と思うことがあります。