藤代: オリンピック・パラリンピックの経済効果について、現時点の中間報告です。

J.K. 期待する声は多いですが、どんな具合ですか?

藤代: 今日は景気とオリンピックの関係について論点を整理します。まず第1にオリンピックの経済効果は、そのピークがオリンピック開催の2年位前に来るということです。2020年が最高と思うかもしれませんが、実際は競技場などの建設が最も盛んになる時期です。したがって、オリンピックの経済効果は昨年がピークだったわけです。

J.K. ということは、今年からオリンピックの経済効果が薄れて景気が悪くなる?

藤代: その指摘が多いのは事実ですが、それは外れるかもしれません。というのも、オリンピックの経済効果が表れるはずの「建設総合統計」で「非居住用の建築物」の推移をみると、不思議なことに2017年以降はほとんど増えていません。そんなはずはない!と思ったので、もう少し詳しく地域別のデータをみると、やはり南関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)は増えています。ただし、その他地域が減っています。東京を中心にオリンピック景気は盛り上がっているものの、日本全体でみると隠れてしまっているということです。

J.K.: ということは、東京の建設ブームが終わると、やはり景気が悪くなる?

藤代: ここで思い出したいのは人手不足。特に建設業の労働者不足は深刻です。現在の日本で起きていることは、オリンピックに関連した都心の開発に労働力が集中する反面、その他地域の建設・工事が進んでいないと思われます。一つの根拠として建設業者が抱える「受注の手持ち残高」、つまりこれから取り掛かる受注案件が高水準にあります。オリンピック関連の建設が終わった後、今まで手付かずだった案件が着工することで景気が保たれることが期待されます。