藤代: 最近、日本経済が急減速している可能性について

J.K.: 戦後最長の景気拡大と聞いてましたが、何か異変ありましたか?

藤代: ここ2週間くらいに発表された日本の経済指標が驚くほど弱いです。中国とヨーロッパ向けの輸出が特に弱く、製造業の生産が急激に冷え込んでいます。GDPの6割を占める個人消費はさほど落ち込んでいないのですが、製造業の弱さによって、現在の景気の瞬間風速はマイナス成長になっている可能性が高いです。製造業が減速すると、やがて幅広く影響してきますので要注意です。

J.K.: なぜ、急激に減速しているのです?

藤代: ひとつは米中貿易戦争の影響が大きいと思います。中国経済そのものが急減速しているわけではないのですが、日本が中国にたくさん輸出している、部品、工場で使うための機械、資本財の輸出には影響がみられています。

J.K.: この輸出の不振は長期化しそうですか?

藤代: まずヨーロッパに関しては、日欧EPA(経済協定)が2月からスタートして関税が下がりましたが、それを見越して2月まで輸出を止めた可能性があります。したがって2月以降は元に戻ると期待されます。問題は中国で、中国も一時的要因によって弱さが誇張されているかもしれません。今年は旧正月、春節が例年より早い1月でしたから、経済のカレンダーが例年と違いました。それにより日本の製造業が影響をうけたかもしれません。輸出は1~2%動けばそれなりのインパクトがあるので、営業日が例年より3~4日少ないと、とんでもなく弱いデータになってしまいます。ただし、カレンダー要因だったのかは確信が持てません。3月下旬ころから発表される2月のデータが弱いと、単なるカレンダー要因ではなく、ホンモノの景気減速と、見方が変わるので要注意です。