第一生命経済研究所の西濱徹さんに、解説していただきます。お電話が繋がっています。西濱さんおはようございます。

西濱:今朝は足もとの景気が少し心配になってきたことについてです。

J.K.:これまで景気は改善基調にあるとのことでしたが、変化がありましたか?

西濱: 景気回復そのものはまだ続いていますが、最近は将来の景気後退を心配して企業が投資を手控える動きが一部で見られています。エコノミストのように景気分析をする人がよく見ている「機械受注統計」という経済指標が精彩を欠く動きになっています。この指標は工場などで使う機械、すなわち「モノを作るためのモノ」の注文がどれだけあったかを示すものですから。設備投資の先行指標として注目度が高いです。

J.K.なぜ、設備投資の動向がわかる指標が重要なのですか?

西濱: この設備投資こそが景気の波を作るからです。日本経済のおよそ6割を占める個人消費に対して、設備投資は15%程度ですから、ウェイトは小さいのですが、個人消費に比べて設備投資は変動が非常に大きいので、景気全体の波を作るという点においては最も重要です。その設備投資の先行指標である機械受注は過去数ヶ月に急速に減少しています。

J.K.:減っている理由は何でしょうか?また今後はどうなりますか?

西濱: 最近の米中貿易戦争もそうですが、アメリカが日本やヨーロッパに対して関税を脅しに使っていますので、企業の不透明感が払拭されるまで、設備投資計画を後ろ倒している可能性が考えられます。アメリカが日本の自動車に関税をかける可能性は低いと思いますが、こればかりは通商協議が早くまとまるのを祈るばかりですから、やはり少し心配です。一方で人手不足を補うための省力化投資、機械化のための投資が旺盛なので、設備投資が景気の足を引っ張ることはないと思います。ただ、景気の波を作り出す設備投資が減速する可能性は覚悟しておく必要があります。

J.K. 第一生命経済研究所の西濱徹さんでした。