藤代:イギリスのEU離脱、BREXITについて現状を整理します

J.K.: 交渉が難航しているようですが、現在はどんな状況ですか?

藤代:非常に複雑なので、まず経緯をおさらいします。出発点は2016年6月にイギリスは国民投票。ここでEUから離脱する方針を決定しています。離脱にあたって、EUとの間で新たなルールを決めることになるのですが、その期限が3月29日に迫っています。ただ、この期におよんでEUとイギリスは、アイルランドの国境問題を巡って妥協に至っていません。このまま3月29日を迎えると法的な整備がないままイギリスがEUから放り出される形になり、そうなると大混乱が生じると言われています。

J.K.: アイルランドの国境を巡ってEUと英国はどう対立しているのですか?

藤代:イギリスは主に2つの島からなっていて、一つの島はEU加盟国のアイルランドと国境が接しています。イギリスがEUから離脱した場合、本来のルールに従うと、現在は自由に往来できるイギリスとアイルランドの国境に検問所などを設置して関税を徴収したりする必要ができます。ただし、それは余りにも不便ですから、国境管理を避けるルール作りを検討しているのですが着地点が見出せません。そこでEU側は、この問題が解決しないならイギリスが事実上、貿易面でEUに残るような協定案を提示。イギリス側はそれを断固それを拒否しています。

J.K.: なぜイギリス側はそれにこだわるんですか?

藤代:事実上EUに残るとなると、イギリスは自分達で自由なルールを作ったりするという目的を果たせなくなります。イギリス内部では、EUから離脱して自由になりたいという意見が多いので、メイ首相がEUとイギリス国内の意見を調整しているのですが、とにかくこれがまとまりません。現時点では3月29日の期限を延長する案もでているのですが、それも決まりません。次は2月14日頃にもう一度イギリス国内の意見を纏めることになりそうですが、そこでもう一波乱ありそうです。