藤代: 2019年の日本経済についてです

J.K.: 株価下落や急激な円高など、ちょっと心配ですがどうでしょうか?

藤代: 景気の拡大傾向そのものは続きそうですが、成長ペースは2018年に比べて鈍化しそうです。理由は2つあります。まず10月の消費増税です。今回は消費の落ち込みへの対策がかなりの規模で講じられるので深刻な落ち込みは回避できると思いますが、景気の減速要因として認識しておく必要があります。

J.K.:もう一つは何ですか?

藤代: 少し意外かも知れませんが、オリンピックの経済効果が弱くなります。オリンピックは2020年で、そこに向けて景気が盛り上がると考えられがちですが、そうではありません。オリンピックで景気が良くなるのは競技場や選手村などの開発をするからですが、建設がピークを迎えるというのは、一般的には開催の2年前。つまり2018年だったわけです。したがって今年はオリンピック関連の景気押し上げ効果が去年より弱くなります。

J.K.そうすると今年の日本経済はやはり心配ですね。

藤代:一方で期待できる明るい材料もたくさんもあります。列挙すると海外要因は、アメリカの通商政策で強硬姿勢が和らぐ、英国のEU離脱交渉が波乱なくまとまる、中国経済が安定成長を維持する、それから国内要因では、人手不足解消のための投資、賃金上昇、が更に加速したり、外国人観光客が一段と増加したり、原油安によるコストダウなどがあります。実感なき景気回復と言われて久しいですが、良くも悪くもジワリジワリと改善が続いていて、その流れ自体は今年も続きそうです。景気拡大の勢いは昨年よりスローダウンしそうですが、それでも成長率がマイナスに転じたり、失業率が上がったりという状況にはまだ距離があるといえるでしょう。