藤代今朝は、この後850分に発表される日銀短観についてです。

J.K.:有名な経済指標ですが、どんな内容ですか?

藤代 日本銀行が全国の企業に対して、足もとの業績などについてヒアリングしたもので3ヶ月に一度公表されます。国内では非常に有名で、海外でもTANKANとして通じるくらい有名です。

なぜ、それほど有名かというと、景気動向がタイムリーにわかるからです。GDP統計など複雑な計算を必要とする経済指標はどうしても公表に時間がかかるのですが、この日銀短観は単純な集計なのでタイムラグが短いです。企業に「最近の業況はどうですか?」と聞いて、それを数値化したシンプルな指標です。なのに経済の現状を的確に教えてくれます。実際に日銀短観の数値は、景気の転換点を見事にあててきました。

J.K.:最近は世界的に株価が下落したり、ファーウェイCFOの逮捕もあって混沌としていますが、今日発表の数値はどうなりそうですか?

藤代 小幅ながら低下が見込まれます。悪化すると4回連続の低下ですから、景気が曲がり角を迎えつつあることを示唆します。ただし、ここで注意したいのは、4回連続の低下とはいえ、水準は良好ということです。直近のピークだった1年前の水準がそもそも持続不可能な高水準だったので、そこからの低下はさほど気にする必要はないということです。私のように経済の細かい動きを見る人にとっては重要なことですが、人々が肌で感じるほど景気が悪化するとか、暗いニュースが相次ぐには相当な距離があります。

J.K.:それでも少し心配ですよね。

藤代 一つ悩ましいのは、こうした有名な経済指標が悪化すると、それがニュースなどで大きく報道されることによって、そのこと自体が景気減速要因になってしまうことです。人々が景気の悪化を意識してしまうので、それが消費者の節約であったり、企業の事業計画を慎重なものにさせてしまうという問題があります。日銀短観の数値は、低下したとしても決して悪い数値ではないので、過度に怯える必要はないと思います。