藤代おはようございます。今朝は、最近の不動産市場の過熱について。

J.K.:首都圏のマンションが高くなって、バブル?という話をよく聞きますね。

藤代 バブルかどうかの判定は微妙ですが、客観的な基準に基づくと過熱感があります。この点は日銀が半年に一度まとめている金融システムレポートに詳しい分析があるので、それに基づいて現状を整理します。日銀は不動産向けの貸出動向をチェックしていて、それによると貸出残高はバブル期を既に突破して過去最高。最近は新規の貸出が抑制されていることもあって伸び率は鈍化してきましたが、それでも過熱感を意識させるレベルです。

J.K.:バブル期に比べて不動産価格は低いと思うのですが、なぜ貸出がそんなに増えているんですか?

藤代 少し深い話になります。バブル期に流行したのは、不動産の転売でした。当時は値上がりのテンポが速かったので、銀行からおカネを借りて、不動産を購入し、すぐに売るという取引でした。土地が売れた時点で借金を返済していたので、借金の総額は増えにくかったという事情があります。それに対して現在は、賃貸経営が目的のアパートローンが増えています。それは賃料収入を原資にして長期間にわたって返済する借金なので、貸出の総残高が膨らみやすいという事情があります。

J.K.:もし不動産市場が悪化すると、何が起こりますか?

藤代: ここ数年は相続税対策でアパートローンを借りる人が増え、不動産投資の裾野が広がっていますから、過去に比べ多くの人が困難に直面することが想定され不動産融資に注力してきた銀行が損失を被る可能性があります。不動産市場がバブルかどうかの判断難しいですが、過熱気味であることは確かで、今後はそれがどう落ち着いて行くのかチェックが必要です。