藤代:おはようございます。20089月のリーマンショックから間もなく10年、というこで、単に当時を振り返るのではなく、そこで得られた教訓をどう活かすか考えたいと思います。

J.K: 2008年にアメリカのリーマン・ブラザーズという証券会社の破綻。そこから世界的不況になりましたね。

藤代: 俗に言うリーマンショックです。世界的に株価暴落し不況になりました。日本は欧米との比較では被害が小さかったとはいえ、大きな打撃でした。リーマンショックの話は限りがないのですが、今日は当時話題になった学生が企業から内定を一方的に取り消される「内定切り」というキーワードに注目し、日本の問題点を浮き彫りにしたいと思います。

J.K: 「シュウカツ」でうまくいかず、やりたいことができないのは問題ですよね。

藤代: これは就職する前に解雇されるのと同じですから、立場の弱い学生からすると悲劇以外の何物でもありません。更に致命的なことに日本独特の「新卒一括採用」です。日本企業、特に大企業は学校をその年に卒業する人を中心に採用していますから、学生からするとチャンス1度しかないということです。新卒の採用は多くの企業が秋頃までには目途をつけているので、その時点で就職先が決まっていないと学生の選択肢が激減してしまいます。

J.K: 新卒で一斉に就職する「同期」の概念は日本ならで変わらないですね

藤代: そうなると年功序列の色彩が強くなって世代をまたいだ競争が阻害されます。また、例えば大学4年生の時に景気が悪いと、いくら優秀な技能・知識を持っていても、それを活かす場に恵まれないという事態になります。これは学生側も企業側も両方、つまり日本全体で大きな損失に繋がっていると思います。特に今は人手不足が深刻ですから若い優秀な人の発掘・育成が急務なので、こうした硬直的な新卒一括採用は見直す時期に差し掛かっていると思います。せっかく一生懸命勉強しても、運悪く卒業のタイミングで景気が悪くなると努力が報われないというのでは、これは誰も得をしません。