2011.12.11

White Christmas / Frank Sinatra

今回は、フランク・シナトラのクリスマス・アルバムを持ってきました。
もうすぐクリスマス、ということで、ここ六本木ヒルズも日が暮れるとイルミネーションが綺麗で、クリスマス色に染まります。
しかし、ふと思ったんですけど、今年、この季節のチャートにしては、いわゆるクリスマスソングというものが少ない。
一体なぜか?
これは、間違いなく3.11の震災の影響があるのではないでしょうか。
音楽産業というのは、世の中に出るのはクリスマスでも、録音をする作業は夏なんです。
ファッション業界と同じで前倒し前倒しで作っていかなければいけないので。
真夏にクリスマスソングを録る。考えてみれば、今年の夏というのは、まだ余震も続いていたり、とにかく節電モードでしたよね。
そんななか、誰もが頭の中では立ち直って復興支援をしていかなければいけない、という気持ちが強い中で
僕も作り手でずっとスタジオに入ってましたけど、クリスマス・ソングを作るというイメージにはならなかったというのが、一つ大きな理由だと思うんですよね。
例えば、最近のTOKIOチャートを見ていても、FUNKY MONKY BABYSの「LOVE SONG」とか、AIの「ハピネス」のように、クリスマスの情景を歌ったラブソングというのは、いくつか入ってきているんですけれども「クリスマス」という言葉をあからさまにタイトルに使っていたり、キーワードに歌った曲はほとんど見当たりません。
これは、自粛とまではいかなくとも、暗黙の了解といいますか、僕たち作り手側の気持ちとして、今年はクリスマス・ソングでパーッといこう!という気持ちにはなれなかった、というのが今年の後半だったんじゃないのかなと思うんですよね。
というわけで、そういう時にクリスマス・ソングがないからといって、クリスマスに音楽なしで過ごしていいものなのかと思って、今回はフランク・シナトラを持ってきたんですけど。
やっぱり、こんなときこそ、こういう音楽を聞いておきたい、クリスマスソングの定番です。
温故知新。古きをたずねて新しきを知る。ですね。
サウンドとしては、ビッグ・バンドサウンドで、テクノロジーをいっさい使わないサウンドは、いつの時代にも優しく僕たちを包んでくれます。
家族と過ごしたクリスマス、恋人とデートで行った映画館でBGM的にかかっていたり、いろんな情景を思い出させてくれますよね。
きっと100年たっても、変わらずに世界中で聞かれる音楽でしょう。
2011年、大きく動いた一年ですが、こんな時こそ、フランク・シナトラのように、何十年も愛され続けてきた作品から未来へつながるエネルギーをいただいてみてはいかがでしょうか。
  
  

亀田誠治(かめだせいじ)

日本音楽界稀代のプロデューサー、椎名林檎、スピッツ、平井堅、アンジェラ・アキ、Chara、秦基博、エレファントカシマシ、JUJU、チャットモンチー、フジファブリック、など。

2004年夏から椎名林檎らと「東京事変」を結成。
2009年自身初の主催イベント『亀の恩返し』を武道館にて開催。
アーティストとしても活動中。

東京事変のニューアルバム『color bars』が、年明け1月18日にリリース!
メンバー全員がそれぞれ書き下ろした新曲を1曲づつ持ち寄った5曲を収めた最新作。乞うご期待です!

◎亀田誠治 twitter:  http://twitter.com/#!/seiji_kameda
makotoya : SEIJI KAMEDA Official Website