WHAT U GON' DO / LIL JON & THE EAST SIDE BOYZ

LIL JONは日本のラジオであまりかからないんですが、うちの雑誌(「bmr」)ではヒーローです。
なぜかと言いますと、前作「Kings of Crunk」というアルバムは、じわじわと地味に売れ続け、アメリカではロングセラーになり100万枚のセールスを突破しました。
ちなみに来年1月11日発売のうちの雑誌「bmr」では”編集部が勝手に選んだ、2004年ベストアルバム50位”というのをやるんですが、そこで1位とは言えませんが、今回出た「CRUNK JUICE / LIL JON & THE EAST SIDE BOYZ」はかなり上位にランクされています。

LIL JON & THE EAST SIDE BOYZは、ハイエナジーなアトランタを基盤とする絶叫系ラップみたいな感じですよね。
LIL JONの何が凄いかって言うと、顔面のインパクトですよ。
サングラスにドレッド、そして歯がプラチナ、あとピンクカップと呼ばれるゴブレットがトレードマークでして、このやたら豪華でジルコニアを使って自分の名前を書いたゴブレットをいつも持ち歩いています。

こういった顔面の話やアルバムタイトルの話をされても、「聞いた事ないよ」「そんな人知らないよ」なんて言う人がリスナーの中にはいるとは思うんですが、LIL JONがプロデュースした曲は聞いた事があると思うんですよ。
プロデューサーとしてはUSHERの「YEAH!」やCiaraの「Goodies」やSnoop Doggの新作にも参加して「Step Yo Game Up」という曲をプロデュースしています。
USHERもまさか「YEAH!」の様な曲をやるとは思っていなかったと思うんですよ。

でもLIL JON & THE EAST SIDE BOYZはね、ラッパーとして致命的欠陥があるんです…。
それはラップが出来ない!
まともなラップとよべるのは、曲ごとに呼んでいるゲストのラッパーのパートだけなんです。
ですからLIL JON & THE EAST SIDE BOYZの計3名は何をしているのかと言うと、”かけ声”だけなんですよ。
それも絶叫かけ声!
ヒップホップだと、かけ声がサビになっている曲って結構多いんですか、サビが終わってそろそろまともなラップが始まるかなって思っていてもずーっとかけ声。
しかもすごくボキャブラリが少なくて、”YEAH!”とか”WHAAA!”とか”OK?YEAH!”とかばかりなんです。
今からかける『WHAT U GON' DO』はストップウオッチで計ってみたところ5分以上ある曲なのに、まともなラップのパートは50秒しかありませんでした。

日本語版のライナーノーツは私が書いていまして、よく使われるかけ声に関しては、一応、日本語訳を付けていまして、「何みとんじゃワレ!」とか、「どこのもんか言うてみい!」「どっから来たんじゃワリャ」「おまえは何がしたいんじゃ」「ここはわしらのシマじゃ」「おまえなんか話にならん!」と訳していいます。

問題はこのアルバムにはUSHERが参加している楽曲があったりするんですよ。
それなのに途中LIL JON本人が絶叫して乱入するので、スゥイートなムードぶち壊しなんですが、Ciaraによると仕事には真面目でスタジオの中では完璧主義者だし、普段は絶叫はしないそうです。

ラウドロックに対するヒップホップのアンサーかと言えば、実際、限定版の3枚組の中にはBad Brainsをフィチャーしたトラックも入っています。

アメリカ版は通常版と限定版でリリースされていますが、日本語版は100万枚を突破した前作『Kings Of Crunk』とあわせて1月下旬発売予定です。
Lil Jon & The East Side Boyz・公式ページ

丸屋九兵衛(まるやきゅうべえ)

牡羊座、血液型不明。一応、京都府出身。
早稲田大学第一文学部卒業。
浪人はしていないが、卒業までに5年かかる。
理由は勉強が好きだったから。
専門は文化人類学もどき。卒業論文はヴードゥー教関連。
1994年10月にbmr(BLACK MUSIC REVIEW)編集部に入る。
現在の肩書きは「編集マネージャー」意味は不明。
内職で早川書房の『SFマガジン』にて隔月連載。
免許・資格は皆無。機械にはめっぽう弱い。