STORY
特殊メイクアップアーティストの快歩さん
++ Introduction ++
これまでKing GnuやOfficial髭男dism、きゃりーぱみゅぱみゅなどの
ミュージックビデオやライブ、
さらにはミュージカルなどの特殊メイクを手がけられてきた
特殊メイクアップアーティストの快歩さん。
人をさまざまな生き物へと変身させる特殊メイクは、
シリコン、ウレタン、石膏、樹脂など、さまざまな素材を使い
質感など、イメージに近づけていくそう。
現場へ行き、その場でメイクというよりも
モデルの方の顔型を取り、パーツを作りあげるとのことですが
そのパーツを事前に準備するのが、とにかく大変な作業なのだとか。
小さい頃から不思議な世界観が好きだったという快歩さん、
当時から絵を描いたり、粘土で何かを作ったりされていたそう。
その後、高校生の頃に出会った映画で特殊メイク技術に感銘を受け
卒業後、東京の特殊メイクや特殊造形アーティストの養成学校に進学。
卒業後はフリーランスとして活動をスタートしましたが
最初の頃は傷メイクや、ゾンビなどを手掛けていたものの、
だんだんと快歩さんの独自の道に進みたいと考えるようになったそう。
『自分が今まで描いてきた落書きとか、粘土とかの
独特な世界観を表現する方が面白いと思ってきて
そこから「なんでもありじゃん!」に切り替えて・・・
誰もやってないことをやりたいが強かったので
そういう不思議な表現をしていて
やっぱり最初は仕事がなかったんですけど
徐々に声をかけていただいて、広がっていって。』
独自の世界観を表現したポップな作品が、
国内外で高い評価を受けている快歩さんですが
インスピレーションやアイデアの種は「本」。
『いろんな本を読んだり、
自分がなんとなく直感的に好きな本など色々選んで
それを無差別に読む。
写真集とか、民族の衣装が載っている本とか色々見たり。
実家が花屋なんですけど、家の横にお店があって
そこで毎日いろんな花を見て。
花って結構変な色づかいだったりとか、
それが今の自分がやっている不思議な色づかいに
繋がっていたりとかするのかな。』
++ Until now ++
今回は『ここ最近1番大変だった仕事』というキーワードで
快歩さんの過去を振り返りました。
Official髭dandism『日常』のMVで
全キャラクターをデザインし、特殊メイクでモンスターにされました。
特殊メイクをした人数は覚えていなくらい、大勢で
1日中特殊メイクを施していたそう。
実は1人メイクを施すのに2~3時間くらいかかるそうで
プラスして前準備もあるので、このMVは大掛かりなお仕事だったとか。
『一応、パーツを用意してみたいなことはしているんですが
やはり作りながら、デザイン画を超えたいという気持ちが強すぎて
どんどんと自分で自分を大変にしてくみたいな。(笑)
でも、そのMVも全部自分がデザインしたキャラクターが出ているので
すごく面白かったですね。
大変だった分、自分も好きなMVなんですけども。』
そして1番プレッシャーというか緊張を感じたのは
大人気アーティストであるyamaさんのマスクの制作。
メディアに出ていない頃、yamaさんが快歩さんのアトリエに足を運び
今度、YouTubeの企画への出演が決まり
顔出しをしたくないとのことで、マスクの制作を依頼されたそう。
しかしマネージャーさんもご本人も、
マスクへのビジョンが全くない中での依頼だったとか。
『やっぱりマスクって、不思議な見た目になりすぎちゃうから、
本人は歌を聴いてほしいから顔を隠したいと言っていて
それに添いたいし。何がベストなんだろうと思った時に
特殊メイク的な考え方でマスクを作ろうと思って。
本人の顔の流れに沿ったマスクで、口は出ていてみたいな・・・』
他にもいろんなアーティストの作品に携わっている快歩さん、
きゃりーぱみゅぱみゅさんの武道館ライブでステージデザインも手掛けられました。
ダンサーの方はものすごい運動量なため、
それに耐えられるよう、しっかりと目線も開け、
動いてもずれない、そして踊りやすいよう軽くも作ったそう。
そんな快歩さんが一番影響を受けたのが水木しげるさん。
『不思議な見えない世界、
今やっているような現実的じゃない世界とかを知ったのが
水木しげるさんの墓場鬼太郎という作品。
それを見て「なんだこれ!」ってなって
そこから妖怪とかを調べていって。』
今の世界観にかなり影響を受けているとのことでした。
++ From now on ++
今後は海外のお仕事も増やしていきたいとのこと。
『特殊メイクの可能性を探って
いろんな見たことない作品を作っているんですけど
それを元に例えば「フェスで不思議なものを作ってほしい!」とか
「あいつに何かをやらせたら面白そう」みたいな
それが今までの特殊メイクの流れじゃなくてもよくて
とりあえず何か起きそうで
色々誘ってしてもらえたら、面白いなと思ったり。』
具体的には「メキシコ」で何かやってみたいそう。
プロレス文化や、死者の日で
仮面やメイクの文化が根強いメキシコ。
メキシコのアーティストのMVも見ていても
日本人の感覚にはない、色の使い方をされているとのことで
そこに快歩さんも入り込んで一緒に物作りをしてみたいと
お話しして下さいました。
最後に快歩さんに
今後の活動を通して伝えていきたいメッセージを伺いました。
『特殊メイクの技術は何でもありで
どんな表現でも出来ちゃうし、なんの素材を使ってもいいし
もっと面白いことができる技術だよっていうのが、広がっていったりとか。
見たことがない表現をしているのを、もっと知ってほしい。
そして「なんか快歩と一緒にやったら面白そう」みたいな人が
いっぱい集まってきてくれたら楽しいなと。
子供も大人もワクワクするような見たことない作品を
作っていきたいなと思っています。』
ON AIR LIST
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CINDERELLA / REMI WOLF
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日常 / OFFICIAL髭男DISM
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