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STORY

2022.08.20

和菓子店「五穀祭菓をかの」 六代目女将の榊萌美さん

++ Introduction ++

埼玉県桶川市にある老舗和菓子店「五穀祭菓をかの」、
六代目女将を務める榊萌美さんは
「をかの」にとって転機となったヒット商品「葛きゃんでぃ」を開発。
こちらはくず粉を使用したアイスキャンディーとなっており
シャリっとした状態からぷるっとした状態へと
一度で二つの食感が楽しめる商品となっています。

元々は「をかの」で葛ゼリーという商品を販売していましたが
賞味期限が二日しか保たなかったため
日持ちさせるために凍らせてみたところから始まったそう。

開発してから、ちょうど一週間後に夏祭りがあり
そこで「葛きゃんでぃ」を初めて販売。
これまで1日で1つも売れない時もあったそうですが
「葛きゃんでぃ」は2日間で1000本の売り上げを記録。
その結果、本格的に商品化、
その後、メディアでも多く取り上げられ大ヒット商品となりました。

しかし、それまでネット販売にあまり力を入れていなかったため
このヒットとなってから、急激に注文が殺到し
最初の頃は失敗や苦労が多かったそうです。

『寝る時間を削るしかないという感じだったので。
メールの問い合わせや製造、発送も自分たちでやって
他の会社に委託するというのもわからなかったので
知らない知識の中で自分たちができる精一杯を
みんなでやったんですけど、
やっぱりついてこれないとか、不満に思う従業員はいて
辞めてしまうこともあって申し訳ない気持ちになりました。』

この「葛きゃんでぃ」のヒットにより世間で注目される一方
ネットでは批判の声もあったそうです。
人のためになりたいという気持ちから
和菓子を販売していた榊さんでしたが、
だんだんと気持ちが落ち込み
一時は辞めることも考えたとのこと。

そんな時、くず粉を取り扱う問屋さんから
コロナ禍で売り上げが落ち込んでいたところ
「葛きゃんでぃ」のヒットで
いろんな和菓子屋さんでくず粉の注文があったと感謝されたり
他の和菓子屋さんからInstagramのDMで、
「葛きゃんでぃ、作ってみていいですか?」とか
「相乗効果で売れました!」など嬉しい声を頂くように。

『ちゃんと誰かの役には立っていたんだなと思って
みんなことを傷つける結果になっちゃったのは
私が知識がなかったし、力不足だったからだと思って
次、同じことが起こった時に誰も辞めないように、
みんなで良かったと言えるように
態勢を整えようと本気でやり始めました。』



++ Until now ++

人のためになりたいという思いから
教師を目指し、大学へ通われていましたが
実習をした際に、自分には向いていない感じ
別の道へ進もうと考えていたそう。
そんな時にお母様が入院され
ご両親が今後のお店の経営について話していたのを聞き
「自分が継がないとお店がなくなってしまう」と感じた榊さんでしたが
経営者としてお店を継ぐ自信がなかったため
継ぐ意思はなかったそう。

しかし、同級生のお母さんにたまたま会い
榊さんが小学生の時に将来の夢として
「お店を継ぐ」とスピーチしていたのを聞いて
みんな楽しみにしていると話してくれたそう。

『家に帰ってその時の探して見てみたら
胸を張って夢を言っている小学生の時の自分がいて。
ちょうどその時に教師にもならないと思って
半分引きこもりみたいな、目標がなくなっちゃったから
やる気がなくなっちゃって。
その時の自分を情けなく思っていたので
その言い切っている小学生の時の自分がカッコよく見えて
人のためになりたいと思って教師を選んだだけだから
手段が変わるのは目的が変わらなければいいかなと思って
もし自分がお店を継げば、
両親とか、お客さんとか、従業員のためになるかな
と思って継いでみようと思いました。』

実際にお店を継ぐとなると敬語が必要だと考えた榊さんは
ちょうどギャル系のアパレルショップでアルバイトをされていたので
2年間社員として働き、敬語を学び、
ご実家の「をかの」へ戻ってきました。

榊さんが戻ってきてからもずっと赤字続きだった「をかの」。
何か始める時には自腹で補填したり、
老舗だからこそ、これまでやってきたことを否定することになってしまうので
簡単にはやり方を変えるというのは難しかったり、
新しいことを始めることで失敗するリスクを考えたりしますが
そこを従業員に不安を感じさせないように
自分だけで抱え込まないといけないというのは
不安だったとお話ししてくださいました。

経営する上で榊さんは
たくさんの人に意見を求める、そして言われたことに
「でも…」「だって…」と言わず、とりあえずやってみるということを
大事にされていたそう。

『みんな経験している先輩なので
だから絶対自分よりも経験値は高いし、
その人の時間を割いて教えてくれたことは
とりあえずやってみてダメだったらすぐに止めて
新しいことをすればいいかなと思って
とりあえずやってみるというのは大事にしていました。』

++ Right now ++

願がけの意味を込めて、ここ3年くらいは結果が出るまで
ほとんど遊ぶ時間は作らずにやってきたという榊さんですが
元々、旅行が好きだったので、今年からまた行くようになったそう。

過去の旅行からインスピレーションを受け、
これまで商品を作ったりすることもあったそうなので
また旅行へ行ってインプットする時間を作りたいとのこと。

『自然に行った時の見上げた空の色だったりとか
行った先で会話する店員さんとのやりとりとか
「こういう言葉を一言付け加えると気持ちがいいよなとか
そういうのは見るようにしてます。』

今、一週間休みがあるとしたら行ってみたい場所は「屋久島」
体力には自信があるそうで
トレッキングにチャレンジしてみたいとのこと。



++ From now on ++

これまで和菓子屋をされてきた中で
和菓子に関心がなかった方が食べてみて興味を持ってくれるのが
とても嬉しく感じた榊さん、
もっと和菓子の間口を広げるべく
新ブランド「萌え木」を立ち上げられました。

大理石や石鹸のようなカラフルなこだわりの見た目と、
あんこだけではない、ほうじ茶やイチゴなど
馴染みのあるフレーバーを使った羊羹「YOKAN-予感-」が
メイン商品となっているそう。

「をかの」では「葛きゃんでぃ」の新しい味を開発中で
秋ごろの販売を目標に進めているそう。

今後、和菓子を通して榊さんが伝えていきたいメッセージは…

『和菓子という業種はもちろんですが
後継のことだったり、若手の経営者の方だったり、女性の社会進出だったり
問題がたくさんあると思うんですけど
その壁を乗り越える時にいろんな方が頑張れるような
小さなきっかけになれる存在でいたいなって思っていて。
SNSの発信とかも始めたのも、
DMとかで「自分も同じ立場で…」「自分もこういうことで悩んでいて…」
なのでやっていることを全てさらけ出してやっていることが
誰かの元気になるってすごく幸せなこと思ったし、
やっぱりそういうことがしたくて私は継ぐことを決めたので
誰かのためになれることをしていきたいなと思います。』

創業135年も続く老舗和菓子店の「をかの」、
ここまで続けられたのも
地元の方に愛していただけたからだと話す榊さん、
その期待を裏切らないよう
これから長く続けていきたいとお話ししてくださいました。

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