STORY
音楽プロデューサーで作家の松尾潔さん
++ Introduction ++
※コロナウイルスの感染拡大予防のためリモート出演頂きました
音楽プロデューサーとして、これまで数々のアーティストを
プロデュースしてきた松尾潔さん。
今回、初の長編小説を執筆。
元々学生時代から小説が好きだったそうで、
小説を書きたいという思いはどこかにあったということですが
同時に音楽が好きだったため音楽ライターとしてデビュー。
その後、音楽プロデューサーとしても活動をされるように。
物語を作ることが好きな松尾さん。
自分が物語を表現するのは小説ではなく音楽だと考え
ライターとしての活動を続けてきましたが、
心のどこかでは小説への想いが残っていたとか。
そこに松尾さんがリスペクトする
小説家の白石一文さんから
「小説を書くべきだ」と説得されたことから執筆を始め、
初の書き下ろし長編小説『永遠の仮眠』が出版されました。
福岡県出身で職業が音楽プロデューサーという設定は
白石さんのアドバイスによるものだったということですが、
書き進めるうちに失敗だと感じたとか。
『知っているが故に嘘を書きづらくなったところもあって、
途中でフィクションを書いているのか
身辺のことを書いているのか
分からなくなった時期もあったのですが、
時間をかけていく中で
リアリティーを追求したフィクションというところに
着地できたらいいなと』。
東日本大震災前の
2011年3月9日と10日の二日間が
物語の中心に進んでいきますが、
松尾さんご自身はこの震災によって
エンターテインメントとは何なのかについて
初めて深く考えたとのこと。
『エンターテインメントの無力さを感じた
という同業者もたくさんいらっしゃいましたが、
それ故、できることは何だろうということを
考える様になりましたね。
創造物って何のためにあるのかということを
改めて考えるきっかけになりました』。
++ Until now ++
ジャズ好きのお父様の影響もあり
子供の頃からジャズに触れながら育った松尾さん。
大学生の頃からライターの活動を始め、
R&Bミュージックの紹介者として活躍されました。
『ジャズのバックグラウンドを持った
R&Bミュージシャンやプロデューサーに自然と惹かれ、
1970〜80年代のクインシー・ジョーンズの大活躍が
自分の耳にバッチリとハマってしまったんですね』。
ライターの仕事をしている中でレコード会社の方から
「プロデューサーに向いているね」と言われていたそうで、
ミュージシャンとしては見切りをつけていたことから
プロデューサーなら音を作る現場により近づけて
それまで聴いてきた音楽体験が活かせるという思いから
プロデュース業へ。
アメリカのR&Bアーティスト、ジョンBのリミックスを
手がける機会を得たことをきっかけに
実際に作業して楽しいと実感したそうです。
松尾さんの想う、プロデュースとは。
『お手伝いに徹するということだと思っていますね。
良いプロデュースをするには
良い歌い手さんというところに尽きる。
成功するかどうかは最初に仕事を受ける時点で
決まっている様な気がします』。
++ Right now ++
10年ほど前から高尾山の登山を続けられているとのことで、
一緒に仕事をした現場の方やデスクワークの方などを誘って
高尾山に足を運んで帰りに食事に行くのが楽しみだとか。
最近は考え事をしている時に一人登山をすることもあり、
歌詞を書いていて手詰まりした時には
道を少し変えて気分転換されているそうです。
++ From now on ++
小説家としての次回作はピュアな恋愛小説で、
現在、執筆中とのこと。
音楽プロデューサーとしては
昨年10月に亡くなられた筒美京平さんのトリビュートアルバム、
「筒美京平SONG BOOK」に収録されている
Little Glee Monsterの芹奈さん・かれんさんが歌う
ジュディ・オングの「魅せられて(エーゲ海のテーマ)」の
カバーヴァージョンを手がけています。
『個人的に筒美さんとはお付き合いがありましたので、
自分の人生に寄せて考えるならば
日本でポップミュージックをプロデュースするという
仕事に従事することになった自分にプライドや誇りを
与えてくれた方でもありますし、
もう少し日常的なところで言えば
僕にとってのファッションと美食の先生でもありましたね」。
「筒美京平SONG BOOK」は
3月24日にソニーミュージックより発売されます。
最後に小説家として長く書き続けられる様な
シリーズ化できるテーマに巡り会えることが夢だと
お話ししてくださいました。
ON AIR LIST
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HURT / ARLO PARKS
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ENGLISHMAN IN NEW YORK / JUJU,久保田利伸
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BETWEEN THE SHEETS / ISLEY BROTHERS
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ALL GOOD / SAMM HENSHAW