STORY
早稲田大学文学学術院教授で翻訳家の都甲幸治さん
++ Introduction ++
一つの国に限定することなく国境を超えて影響し合っている
作品を世界文学と称して研究している都甲さんの著書、
「世界文学の21世紀」、
「引き裂かれた世界の文学案内?境界から響く声たち」、
「街小説 読みくらべ」
三冊が7月から8月にかけて刊行されました。
早稲田大学文学学術院で教鞭をとっていて、
今年はコロナウィルスの影響もあり
オンラインでの授業を行なっているとのこと。
当初はオンライン授業に対して否定的でしたが、
今は真逆でオンライン最高と感じるようになったとか。
『オンラインは留学している学生が参加できるので
リアルタイムで外国文学の話をしながら
外国が実際に今どうなっているのかを聞けるのは
未曽有の体験だと感じています。
あとは20人ほどの授業でもオンラインなら
1対1っぽい雰囲気になるので、
思っていることをなんとなく言い易くて
感情も出し易いということが分かってきました』。
また、オンラインは上半身全体でちょっと盛り目に
リアクションをすると実際に話している時よりも
伝わり易いと感じるそうです。
『内容だけを伝えようとすると行き違いになりがちですが、
感情を伝えようとすると割と上手くいきますね』。
++ Until now ++
杉田玄白の「蘭学事始」に衝撃を受けながらも
翻訳家を目指そうと思ったことは無かったそうですが、
大学生の時にたまたまアメリカ文学研究家で翻訳家の
柴田元幸先生の授業に出席した際に
ブコウスキーの翻訳を頼まれたことがきっかけとなり、
それ以来、25年くらい翻訳の仕事をしているとか。
『それまで翻訳したことは無かったですが、
根拠なく自信があるからできるでしょうと思って…
今、見ても初めてのことで楽しそうに取り組んでいるなぁと。
だから不思議ですがデビュー作が自分にとって目標というか、
こういう楽しそうな感じが保てたらいいと思いますけどね。
慣れて変に上手くなっちゃうみたいなのは
あまり良くないなと思っていて…』。
英語では分かるけど日本語にすると複雑で理解が難しかったり
歴史や文化などの違いからアメリカでは人気があるが、
日本では受けにくい作品は翻訳しないようにしているそうです。
++ Right now ++
集中してアイディアを考えることは極力避けて
これまでに息抜きでやっていたプライベートなことなども
仕事に落とし込むようにしているとか。
『集中して考えると割と予想通りのものになってしまうので
一回忘れてボーッとしているとアイディアが降りてきて、
それを書いたり喋ったりするという感じですね。
来ないときは寝ます。
人間は寝ているときに一番深く考えられるので…。
一晩寝ると“大体答えは分かっているな”という予感が来るんですよ。
だからお風呂に入っている時と寝ている時が一番大事かな』。
近著「世界文学の21世紀」で韓流ドラマにハマっている
と書いていることについて・・・
『アメリカ文学研究と韓国は関係あると思うんですよね。
ドラマや音楽にしても韓国の人は日本人より
アメリカの影響をダイレクトに受けているので、
それをどのように作品に落とし込むかに興味があるんですよね』。
++ From now on ++
都甲さんによれば、今後は世界文学としてカテゴライズされる
日本人作家が増え続けていくとのこと。
『実際に翻訳本もいろいろ出版されていますし、
特に女性が多いですけど日本語から英語などに翻訳する
作家の人数も増えているので状況は変わっていくと思いますね』。
早稲田大学文学学術院の教授という立場から
人文系の学部、文学部はこれからの時代に
どのような役割や意味を持っていくかについて・・・
『文学研究は究極的には自分ではない人は
どのように生きて、感じて、考えているのかな
ということを想像する力を鍛えるものだと思うんですね。
時代や言語が異なる人たちと対話すると
いろいろと見えてきて面白いよみたいな。
それは自分と違う人に寛容になることであって、
寛容さがどんどん失われている世の中だと思うので
嫌だなとか、よく分からない人も切り捨てないで
寛容に振る舞うことを学べれば
大学教育としていいのかなと思っていますね』。
ON AIR LIST
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LIE LIKE THIS / JULIA MICHAELS
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WALK ON THE WILD SIDE / LOU REED
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飛行機 / KOHH
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LEAVE ME ALONE! / BOY PABLO