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STORY

2020.07.04

恵泉女学園大学教授で園芸学がご専門の藤田智さん

++ Introduction ++

※新型コロナウイルスの感染拡大予防のためリモート出演頂きました。

藤田さんが大学で教鞭を執っている「生活園芸」は、
化学肥料や農薬を一切使わずに
野菜、花、果樹を育てる有機農業をコンセプトに、
園芸だけでなく、生活に根差したことや植物の生命に関わること、
女子大ならではの女性が生命を育て、環境を自分自身の考えの中に
取り入れることなどを総合的に捉えて学ぶ科目です。

キャンパス内にある1ヘクタールほどの畑では堆肥を入れ
ジャガイモ、さつまいも、キュウリなどを植えて育て収穫する
実習も行っているとか。

『縦横60センチ?1メートル50センチの畑が5〜6つあって、
二人一組で担当しますが、大学1年生は友達ができていませんよね。
その二人が力を合わせていると友達になって、
隣や周りの畑の学生たちともコミュニケーションがとれる科目です。
以前、キュウリを収穫したとある学生が私の肩をトントンと叩いて…
「先生、私が育てた最初の生命ですかね」と言うんです。
私も昔はキュウリにも生命があると教えていましたが、
最近はキュウリはキュウリじゃないかと思っていたんですけど、
学生にとっては自分で育てたものには生命があり、
それをいただいて自分が生きているということにも気が付くという…
生活園芸は重要な意味がいろいろあると思っています』。

コロナ禍による自粛中、家庭菜園や草花を育てることを始めた人が
増えたと実感されている藤田さんが、今の時期にお薦めするのは「空芯菜」。

『外国から入ってきた野菜で成功している例の一つは
炒めても茹でても美味しい空芯菜です。
横20センチ、縦65センチ、深さが20センチくらいのプランターに
1ヵ所あたり3〜4粒くらいの種を3ヵ所に分けて蒔くと
8月から10月の3ヶ月間は食べきれないほど育ちます。
芽が出てきたら2週間おきに肥料を追加で加えれば、
多少は虫に食われるかもしれませんが、できると思いますよ。
暑い時期なので水は毎日2回くらい必要かもしれませんが、
やり過ぎると根が腐ってしまって育ちが一層悪くなりますから
水やりをする時はたっぷりで、乾くまで次はやらないという…
土の中で乾いた状態と水に濡れた状態が交互にくるようにすれば
大丈夫だと思います』。



++ Until now ++

出身は秋田県で、実家は農家。

『米と野菜と林檎を作っていて、小さい頃から興味をもっていました。
ある日、両親がキャベツと大根を収穫してきた時に私の口から出たのが、
「父ちゃん、なんで上がキャベツで下が大根の植物はできないんだろうね」
という言葉だったそうで… 当時から私はそういうことを思っていて、
大学でキャベツと大根の雑種を自分で作ったという経験があります。
それはラファノブラシカという雑種で上が大根、下がキャベツでした(笑)』。

長年にわたって園芸や農業に携わってきた藤田さんによれば
1970年以降、時代とシンクロしてブームが生まれたとのこと。

『私にとって一番関係がある園芸ブームは2007〜2009年。
団塊世代の方々がたくさん退職する時代で、
定年になったら農業に帰るという思想がありましたので、
その頃は家庭菜園などが一番流行った時ですよね』。

食料自給率が40パーセントに満たない日本において
農業は国の基幹的な産業の一つである一方で
後継者不足は深刻な問題となっています。

『農業をやりたいと思っている方はいっぱいいまして、
最初は自宅のベランダのプランターで、歩いて3秒の畑。
家の庭なら歩いて1分くらい、市民農園は歩いて15分くらいの畑。
車で1〜2時間くらいの所に家を建てて農業をしている方もいて、
それでも飽き足らないとボランティアやヘルパーとして手伝いに行きます。
そうして農業に深く馴染んで行って最終的には自分で農業をする
という方が増えていますね』。

++ Right now ++

今後、藤田さんが育ててみたいと思っているのが「ポポー」。
北米原産のバンレイシ科の果実でバナナみたいな味・・・
日本では島根県あたりで
町おこし、村おこしとして生産されているとか。

『ポポーは掘ったらすぐでないと使えないので
生で売っていることは少なくて、
アイスクリームにして食べる美味しいそうなので、注目しています。
自分で作って食べてみたいと思っています』。



++ From now on ++

農業は人間がおこなった最初の環境破壊であるという藤田さん。
その真意について・・・

『1万3000年〜1万年前に人間が土を耕し環境を壊して種を植えた
という意味において農業は環境破壊に繋がりますが、
環境を破壊するだけではないという意味もあると思います。
日本では有機農産物は1〜2パーセントくらいで、
98パーセントは農薬をかけたものを食べていていることから
土地を有効利用しながら
持続的な農業を目指すことに重要な意味があります。
地球に優しい農業は環境破壊を無くす為に有用だと思っています。

人と自然、人と社会という観点でこの問題を考えていまして、
町に家庭菜園や体験農園が増えて人々がコミュニケーションをとったり
花を植えて仲間作りをすることが
社会に向けた働きかけの一つだと思います。
人が自然と共存していくという考えで持続的な農業を広げていけば
将来、環境破壊は無くなるのではと思っています』。

藤田さんの夢は3つ。

『まずは桃太郎が生まれた大きな桃…
桃は割ると小さくなってしまうので、たくさん食べられる大きな桃を
作ってみたいと思いますね。
2つ目はネパールとかブータンとかタイなどの海外で
自分の経験を活かして農業の力を導入したいと思っています。
そして、3つ目は自分が専門とする ほうれん草のもっと美味しい品種を
作るか、あるいはアブラナ科の中で世界一美味しいと言われる野菜、
コールラビを作ってみたいと思っています』。

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