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STORY

2020.02.08

映画ライター・編集者のよしひろまさみちさん。

++ Introduction ++

映画評論家は主観も入れながら他作品との関連性などの
評を論じるのに対して、雑誌やインターネットのウェブサイトなど
発注があった媒体の読者に届くような言葉に翻訳し、
1本ごとの作品を分かりやすく解説するのが映画ライターの仕事。

よしひろさんは・・・
『100人いたら100通りの見方があるのが映画なので、
どの作品を観ていいのか分からないという人たちの手伝いを
させていただいていると考えています』。

日本時間の2月10日に「第92回アカデミー賞」の授賞式が
開催されますが、今年の特徴は「Netflix問題」。
昨年は「ローマ」が監督賞と外国語映画賞を受賞しましたが、
作品賞はノミネートされたものの、受賞を逃したことからNetflixなどの
配信業者による作品は映画として認められない印象がありました。

Netflixはこれまでオスカーを狙えそうな作品に限り特別に
劇場公開していましたが、アカデミー賞は前年の12月25日までに
ロサンゼルスの劇場で2週間以上の興行をした実績がないと
ノミネートの資格を得られないことから映画館の興行社の協会に入会。
それにより今年はその問題がクリアに。

「第92回アカデミー賞」の台風の目はサム・メンデス監督の作品、
「1917 命をかけた伝令」。

『今まで第二次世界大戦を描いた映画は山のように作られましたが、
この作品は第一次世界大戦の話なんです。
生き証人と呼ばれる人たちが亡くなり、文献もあまり残っていないので
映画化するのが難しいテーマにわざわざ取り組んだことと、
役者ではなく撮影が主役でほぼワンカットに見えるように
全部繋いでいるところが特徴です。
アメリカでは一昨年の12月公開だったので誰もこの作品を知らなくて、
後々になって突然出てきて前哨戦でガンガンと賞を獲ったので
今、本命馬と目されています』。

ダークホースは韓国映画「パラサイト」。

『韓国語だから字幕が英語で出てくる作品が外国語映画賞以外で、
それも主要な作品賞にノミネートされたのは本当に異例中の異例です。
興行的にも北米とヨーロッパで記録的大ヒットし、
これまでの数字を塗り替えるくらいのヒットをしているんですよ。
映画ファンのアカデミー会員や俳優も大抵はこの作品を薦めています。
オスカーは白人が選んだ白人のための賞みたいな結果に対して
とても強い反発があります。
昨年、「ブラック・パンサー」が受賞して若干は中和されましたが、
実は今年の候補作を見ているとほぼほぼ白人寄りです。
そこにアジア映画がノミネートされたのはパワーバランスをとって
ダイバーシティ政策をとっているという読みもあります』。



++ Until now ++

名刺を作って名乗れば、その日から映画ライター。

『最初はゲイ雑誌から始まって音楽誌やデザイン誌の編集部、
女性の生活情報誌など編集者として業界を渡り歩いていました。
今で言う非正規雇用で、その収入だけでは生活が成り立たないので
並行してライターの仕事をやっていました。
28歳の時に定額で入る契約とフリーの仕事のギャラがほぼ同額になって…
契約はどんなに頑張っても出世も無いし年俸も全く上がらないけど、
フリーは頑張れば上がるので鞍替えしてフリーになりました』。

お父さまが映画の配給会社で映画館の運営をされていたため、
子供の頃から劇場で映画を観る機会が多く、
洋画に目覚めるきっかけになったのが
「サタデーナイトフィーバー」だったそう。

『音楽映画やミュージカル映画はツボが凄く多いですね。
ちょっと前に「ヘアースプレー」という映画がありましたが、
この10年くらいの間に何回観ただろうか。
ブロードウェイの舞台を映画化した作品なので音楽もほぼ一緒ですけど、
舞台の演出よりも派手なんですよ。踊りのシーンも格好いいです』。

++ Right now ++

趣味は、旅。今、行きたい国は台湾。

『東日本大震災で台湾から高額の義援金をいただいたことを受けて、
講談社の雑誌「FRaU」の編集者がお礼の企画をしようということで
特集を作りました。
その当時の人気はソウルで、次がハワイみたいな感じでしたが
それが塗り替わるくらいにいい特集を組んだんですよね。
今でこそ台湾は観光地として人気ナンバーワンになりましたが、
とにかく女性が喜びそうな台湾の雑貨とか古い町並みとか… 
忘れていた昭和レトロみたいな部分が残っている。
行ってみたら今まで見たことが無い台湾を見せてもらいました。
今は台南に必ず行きたいです』。




++ From now on ++

NetflixやAmazon Studiosなど配信系の会社が制作する映画の質は
もともと高いと言われていましたが、今年のオスカーのノミネート作品は
これまでのような一部の映画ファンだけに支持されるものではなく、
エンターテイメントして作り始めたという実感があるとか。

資金が潤沢にあって全世界同時に多言語化で配信が可能で
好きなものを制作していいという条件まで付いていることから
クリエーターは配信系に流れるだろうということです。

『昨年のディズニーによる「Disney+」に続いて、
今年はワーナーグループがアメリカで独自の配信サービス「HBO Max」を
始めるので大手のスタジオもほっとけない…。
日本は群雄割拠過ぎるんですよね。
地上波のテレビ局はそれぞれに配信サービスを始めているんですけど、
大きいところでまとめていただいたほうが視聴者ファーストですよね。
放送局はドラマや映画を制作する際に放送コードがあったり
製作委員会方式をとっているものが多いだけに、
クリエーターのクリエイティビティ関わってくるんですよね。
“忖度しなくていい”という条件がついたドラマや映画ほど
強いものはないというのは証明されているので。
日本の映画業界もこれからはそっちに流れて行って欲しいな
という希望的観測はあります。
日本映画界は視聴者が何を求めているかということを
もうちょっと考えて欲しいなという気持ちはあります』。

ON AIR LIST

  • YOU’VE GOT A FRIEND IN ME / RANDY NEWMAN
  • ANOTHER DAY OF SUN / LA LA LAND CAST
  • DON’T LET THE SUN GO DOWN ON ME / GEORGE MICHAEL & ELTON JOHN
  • STAND BY ME / BEN E.KING

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