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STORY

2019.10.12

プラネタリウム・クリエーターの大平貴之さん

++ Introduction ++

プラネタリウム・クリエーターとして移動型プラネタリウムのシリーズ、
「メガスター」や世界初の家庭用レンズ式の「ホームスター」などを
次々に開発してきたプラネタリウム・クリエーターの大平貴之さん。

当初は投影機を作ることがメインだったいうことですが、
現在はご自身が設立した会社のスタッフとともに上映内容を立案して
映像コンテンツの制作やナレーションからイベントの企画まで
プラネタリウムに関する幅広い業務を手がけているとか。

『昔からプラネタリウムを作っている大手のメーカーは日本国内に
2社ありますが、常設の施設に機材を納めるとかコンテンツを作るまでは
結構やられていますが、
私たちは特殊で今はイベントに力を入れています。
たとえば野球場や商業施設などこれまでプラネタリウムが無かった場所や
種子島の「千座の岩屋」という
洞窟に投影機を持ち込んで上映会をしました』。

これまでのプラネタリウムは技術的に星を映し出すスペースのサイズは
光が届く距離の関係で直径30メートルほどが限界でしたが、
大平さんが新たに開発した超大型のプラネタリウム「GIGANIUM」により
200メートル以上まで大きくなって、
今年8月には「メットライフドーム」で
初の投影イベントも開催されました。

『通常のプラネタリウムは決められた型があるんですよね。
座席があって上映時間が決まっていて、上映中は必ずスマホの電源をオフ、
お喋りしないでくださいといったことを守って見るんですね。
でも、「メットライフドーム」ではグラウンドにも入れる運営になっていて
1万もの人が思い思いに、寝そべってスマホで写真を撮ったりお喋りしながら
星空のショーを観ているので体験の種類が全く違うんです。
“大きさ”と言うと数字の違いでしかありませんが、やはり桁が変わると
意味が違ってくるということを本当に感じられて面白かったです。
ピクニックというか野外コンサートのような雰囲気でしたよ』。

7月に出版された新著のタイトルは
「人気プラネタリウム・クリエーターが作った世界一美しい星空の教科書」。
星空をいろいろな景色とともに楽しんでいただくというコンセプトの本で、
88個ある星座の歴史や見られる場所、過去と未来の星座などが
紹介されています。


++ Until now ++

プラネタリウムに興味を持つようになったのは10歳の頃・・・

『近所にプラネタリウムがあってそこで星を見たんですね。
僕は川崎市に住んでいてあまり星が綺麗な場所ではなかったのですが、
プラネタリウムではとにかく沢山の星が見えて…
それを自分の部屋で再現して自由に星空を操れたら面白いだろうと思い、
映写する機械に興味を持って作ってみたくなりました。
後になって解説員の方が言うにはプラネタリウムに興味をもつ人は
誰もが真っ先に宇宙に興味が行くのに映写機に目が行く子供は珍しいと』。

小学6年生の時にレンズを使った投影機作りに挑みましたが途中で失敗。
その後は写真に凝ったり自作のロケットを飛ばしたり、と色々なことを
やっていたという大平さん。大学生の時に個人では作れないと言われていた
レンズを使った本格的なプラネタリウムを作ることに成功し、
それが大きなステップになったということです。

『独学ですね。機械の作り方や知識は学校で勉強したりしましたが、
プラネタリウムの作り方自体を教えてくれる人はいないので積み重ねです。
いきなり大きな物を作るのではなくて小学生の頃に小さい物から始めて
徐々にスケールアップして自分の中で工夫して知識をつけて…
それで初めて大掛かりな物ができたということです』。

プラネタリウムの投影機メーカーや施設の職員など業界関係者が集って
情報交換する「全国プラネタリウム大会」に個人で初参加したところ、
大きな反響があり2年後にロンドンで開催される世界大会への出品を
勧められ、そこに向けて新たに製作したのが「メガスター」。
既存の大型プラネタリウムよりも100倍以上の数の星を映し出すことが
可能な高性能の投影機で、それがきっかけとなって趣味から本業の道に
シフトされたということです。

++ Right now ++

プライベートでの趣味はボクシング。
大平さんの会社の近くにある元世界チャンピオンが運営している
「花形ボクシングジム」に挨拶に行ったところ、“貴方でもできるよ”と
言われて始めたところ面白くて、今でも継続しているということです。

プラネタリウム・クリエーターとして訪れたいと思っているのは・・・

『南極には行ってみたいと思いますね。
南十字星など南半球の星が頭のてっぺん近くに見えて、オーロラも。
極限の場所で見た星空はどんな感じかなって。
プラネタリウムでも南極の空を再現しますが一回も行ったことが無いので、
それを見てみたいです』。

プラネタリウムの魅力はいろいろな場所へすぐに行ったり
時間を早回しにしたり過去の空を見られたりといったリアルな夜空では
決して体験できないことができるところ。
リアルの代替ではなくリアルに誘うものと感じているそうです。

『これからは風や匂いなど五感に訴える要素を入れてさらにリアリティを
上げたいとは思っていますが、結局は本当に砂漠に立って星を見た体験とは
比べようがないわけですよ。そこは限界として理解する必要があって、
プラネタリウムという限られていて閉じた空間だけど、そこで星を見せることで
何を伝えられるかということのほうが大事かなと最近は思っていますね。
ただリアルさを追求するというよりはね』。



++ From now on ++

新作の構想は幾つもあるという大平さんが現在進めているのは
10億個を超える星を投影するという新しいプラネタリウムで、
1年後くらいにはデビューするとか。

次々と新作やユニークな企画を生み出し続けている大平さんですが、
そのアイディアの源や情報のインプットについて・・・

『人と話していてこんなことをやりたい、こういうことはできませんかと
言われた時に実現するアイディアがポ〜んと出てくることが多いですね。
そのプロセスは過去のいろいろな蓄積や経験が自分の引き出しの中にあって、
全く突拍子もないことを言われた時に自分の中の引き出しから必要なものを
瞬間的に取り出して、これが一気に結合する瞬間があるんですね。
僕は一つの分野の専門家というよりは機械、電気、ソフトウェアなど
物作りのためのいろいろな分野に跨って取り組む、ある意味で欲張りですね。
全然違う知らないことでもどんどん飛び込んでいるところが
引き出しの中の情報量に繋がっているんじゃないかなと思っています』。

現在、大平さんが製作したプラネタリウムが常設されているのは2ヶ所。
お台場にある「日本科学未来館」の「メガスター?コスモス」は
1,000万個の星を体験できて、「かわさき宙と緑の科学館」では
シリーズ最上位機種「メガスター?フュージョン」による
星空と景色のフュージョンを満喫することができます。

また、大人の方にお薦めなのが白金にある「プラネタリウム・バー」。
オシャレな建物の最上階にある丸い天井に星を映し出し、
真っ暗な店内でお酒を飲めるスイートな空間ということです。

いろいろなことに興味が尽きない大平さんの夢は・・・

『自家用操縦士の免許を取って、今は「計器飛行証明」という
次のライセンス取得を目指しています。
いつかは小型ジェット機の操縦もできるようになって機体の中に
プラネタリウムを映して星空のジェット機を飛ばすのが夢です。
あとは「GIGANIUM」をさらに大きくすると直径1キロメートルくらいまで
星が映せそうなんですね。そうすると例えば、東京ディズニーランドの敷地が
直径1キロくらいですけど、あの規模のテーマパークで丸い天井に
覆ったものを作って星空や映像が映ったら凄いと思いませんか』。

ON AIR LIST

  • DROPS OF JUPITER / TRAIN
  • AERODYNAMIC / DAFT PUNK
  • ANGEL / SARAH BRIGHTMAN
  • THE MOON SONG / KAREN O

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