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STORY

2019.06.29

写真家のテラウチマサトさん

++ Introduction ++

写真家テラウチマサトさんの現在の仕事は6割が女優、スポーツ選手、経営者、
政治家などを撮影するポートレイトで、4割がランドスケープやスティルライフなど。

『自分が撮る写真は他とは違うという思いを込めて“ポートレート”ではなく、
あえて“ポートレイト”と言っています。
例えば今よりさらにワンステップ上のステージに行きたいと思っている女優さん、
業績が落ちてしまい心機一転して改めて出直そうと決心した会社経営者の方、
選挙を控えた政治家など、ここぞという時の撮影依頼が多いいんですね。
ですから、その人が普段見せている顔ではなく“あ、こんな表情もするんだ〜”
と感じる写真を“ポートレイト”と呼んで一生懸命撮っています』。

先日、出版されたテラウチさんの最新作は
画家ゴッホが辿った道を写真で追いかけた
写真集「フィンセント・ファン・ゴッホ ?ほんとうのことは誰も知らない-」。
27歳で画家になる決意をして処女作となる「ジャガイモを食べる人々」を描いた
オランダのニューネンからスタートして
パリ、アルル、サン・レミ・ド・プロヴァンス、
オーヴェルといったゴッホの10年間を辿って撮影されたということです。

『2012年にパリのユネスコ・イルドアクトギャラリーで葛飾北斎の浮世絵と
僕が撮った現代の富士山の写真で構成した展覧会を開催した時に現地へ行って
フランスの人たちは日本が好きだということが分かったんです。
その発端は中世ヨーロッパのジャポニズムで、
その中には葛飾北斎がありましたが、
“当時の画家で北斎が好きだったのは誰ですか?”と聞いたところ、
ゴッホの名前が挙がりました。生前に1枚しか絵が売れなかったゴッホが
日本を好きだったということに興味をもち、いろいろな本や図録を見ていく中で
アムステルダムにあるゴッホ美術館の上級学芸員でゴッホ研究家でもある
ルイ・ファン・ティルボルフという方が書いた本に出会いまして、
そこには“ゴッホは風景を日本人の目で見ていた”と書いてあったんですよ。
浮世絵の構図や影を描かない大胆な手法、デフォルメ、遠近法などを取り入れていた
ということだと思いますが、それなら、もしも今ゴッホが生きていてカメラを持って
旅をしたらこんな写真を撮ったのではないかというものを
日本人の写真家である僕が
自分なりにゴッホの辿った道を歩いて撮影した写真集です』。






++ Until now ++

子供の頃は編集者になりたいと思っていたテラウチさんは気が付いたら
写真家になっていたとか。

『大学卒業後は出版社に就職して編集部に入りましたが編集者という職業が
自分がイメージしていたものと全然違っていました。就職するということは本来、
生き方を選ぶものであって、自分は机にへばりついているのではなくて外へ出て
アクティブな生き方をしたかった。隣の写真部を見たら朝、出社して来ると
“行ってきます!”と言ってカメラバッグを持って夜まで戻ってこない。
あっちの方が断然いいなと思って異動願いを出して認められたのが
写真の道に進むきっかけでした』。

出版社の写真部に在籍していた時はスポーツ選手や会社経営者など多くの方を
撮影して被写体の方からも写真を褒められることが多くなり嬉しかった半面で、
自分が撮った写真のどこがいいのか全く分からず、褒められるほど自信が無くなり
そこから真剣に写真の勉強をするようになったということです。

『ある時、とある写真家事務所の社長さんに自分が撮った写真を見せる機会があって
その気はありませんでしたが何気なく“フリーになれますかね?”と尋ねたところ
“光が見えていないうちはプロにはなれませんね”と言われたんですよ。
それが独立するきっかけです。見えていないとうのはどういうことなんだろう…
その見えてないものを見たいと思って独立することに決めました。
その一言でフリーランスになって今があります』。

++ Right now ++

完全にプライベートな時間を作りたいと思っているテラウチさんの現在の趣味は
どこでもできるランニングと絵を描くことで、昨年6月には初となる絵の個展も
開催されたそうです。

『写真と絵はどのように違うんだろうということを体験してみたかったのと、
実は高校生までは絵を描いていたんですよ。すごく落ち着きますね。
写真は自分のイメージ通りに撮れているうちはまだまだ中途半端だと思っていて、
自分の頭の中にあるイメージを超えたもの、思ってもみなかったものを撮るのが
写真だと思っていますが、僕の場合の絵は自分の頭の中にあるものを描く。
基本的には富士山を中心とした絵を描いているんですけど、
北斎が「富嶽三十六景」を描いている浮世絵を見るとほとんどは富士山の面積が
非常に小さいんですよ。富士山を背景にしながら江戸の生活文化を描いている。
それなら僕は2030年とか2050年の富士山を描いてみようかなと。
写真では絶対に撮れないですからね』。

長期の休みが取れたら行きたいと思っている場所についてテラウチさんは・・・

『北のベネチアと言われているデンマークのオーフスとか緯度の高い場所に
行きたいなと思っていて、時期によるかもしれませんが緯度の高い国は
太陽が沈み始めてから日没するまでの時間が長いので写真家にとっては
やり易いかなと思います』。




++ From now on ++

写真を撮って公開したり写真集を作ったり人に技術を教えるということに留まらず
写真の領域を広げていきたいというテラウチさんは写真家の持っている発見力や
人の気持を読み取る力といったものを使って地域活性化の仕事や写真研修などの
しっかりしたカリキュラムを作り始めているとか。
現在は全国8つのエリアで地域創生プロジェクトを手がけているということです。

『カメラを使うことで普段は見なかったものを真剣に見るようになって、
上手に写真を撮れるようになっていくから楽しいですし強制的にやらされている
感じが無いので経営者やリーダーが望んでいた躾が自然にできると思っています。
人と接する時も写真を撮って“お早うございます”を表現しましょうと言われると
実は身振り手振りが大事だということに気付いたりして…。
そういったことを一部上場企業でやらせていただいていて、お世辞かもしれませんが
とても効果があると言っていただいています』。

この度、アフリカ大陸の南部にある世界で44番目に大きい国で一人当たりのGDPが
世界80位前後というイギリス連邦ボツワナ共和国の名誉観光領事に就任した
テラウチさんによれば・・・

『僕の役割は写真を使ってボツワナがどのような国かを日本の皆さんに
広く知らしめることです。ボツワナはダイヤモンドの算出量が世界一で
文化度も高くてアフリカの中では珍しく一度も紛争が起こったことが無い国ですし、
自然を大切にしていていくことに力を入れている国です。
日本に対しての親交も深い人たちなので日本とより密度の濃いお付き合いが
自分の力で出来たらいいなと思っています』。

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  • LA RITOURNELLE / SEBASTIEN TELLIER
  • お祭り野郎 / 彦と涼一座
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