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STORY

2019.02.09

パティシエの成田一世さん

++ Introduction ++

フィレンツェ、ニューヨーク、台北などの名店でパティシエとして
腕をふるったのち、
2012年、銀座「エスキス」のシェフ・パティシエに就任。
アジア・ベストパティシエ賞や、NY Times紙が選ぶBest of New York、
「パンとデザート部門」賞など国際的な賞も数々受賞されている成田一世さん。
お菓子作りで最もこだわっているのは“甘さ”。
母親が子供に甘いから食べるのを止めなさいと
叱るようなお菓子を提供する仕事は
したくないとのこと。

『できるだけギリギリの甘さを付けていますが、
その甘さが体の負荷になるところまで
いかないように心がけています。自分は母親や女性をリスペクトしていて、
女性に否定されるような物は作りたくないという気持ちがあります。
女性はその時代を見抜く力をもっていて、
流行は女性から始まることが多いですし、
種を存続していく上でオスは戦い、
メスはそれを受け継いで育てていかなければ
ならないので、女性と男性では“見ている目”が違うと思っています』。

チョコレートと同様、コーヒーにもこだわりをお持ちの成田さんによれば
日本人の中には一度に比較的多めの量のコーヒーを飲む方がいますが、
チョコレートやコーヒーは食べたり飲んだりしながら誰かと会話した時に
その高揚感と一体になって自分の口の中に味や香りも残っているので
多くの量をガブガブ飲むものではなくて、
どちらかと言うとヨーロッパの人たちは
濃いコーヒー少量を一日に何回も飲んでいるとか。
朝起きてエスプレッソを飲んだ時に口の中がエスプレッソの香りになって
それが残りつつ一日が始まるので朝から心地よさがあるそうです。

パティシエとして成田さんが日頃心がけていることについて・・・

『人が生きていく上で必要とされる摂取カロリーは
昔と比べて低くなってきていると
言われていますが、それに逆行して美味しいものを探して食べるようになると、
どんどんカロリーが高くなったりもします。
自分はその中間くらい、中心よりも少し下の部分を目指していて、
それでも美味しく感じてもらえるように作っています』。


++ Until now ++

実家は洋菓子店ですが両親からは家業を手伝うより外で遊びなさい
と言われていたことから
スポーツに没頭しケーキとは程遠い世界で生きていたという
成田さん。高校卒業を控えて進路を選ぶ際、家にはあまりお金が無いので
同じスポーツをやっていて成績が良かった弟さんが大学に進学し、
家業でもある洋菓子作りの道に進んだということです。

『今の人たちがどういう意識で職業を選んでいるか分からないですけど、
良かったと感じるに至るまでには長い時間がかかりましたね。
シェフになるまでの間は本当に楽しい時間だったり喜びだったり
満たされることは然程無かったです。
どのような仕事でも自分が必要として求められるようになるまでには
それなりの時間が必要だと思うんですよね。
その時間を乗り切ることじゃないですか。
それがパティシエとして成功するために
最も必要な要素だったと思っています』。

日本で経験を積んだ成田さんが職場として最初に訪れたのがフランス。
当時、日本である程度のところに達していたので
習得すべきこともあまり無く、
現地ではシェフを務めていたので教えることのほうが多かったとか。
日本でも特殊とされる物を作ってしまうので、
何ですかこれは?と聞かれることも
しばしばあったということです。

フランスを始めイタリア、アメリカ、台湾でも活躍されたことについて・・・

『国ごとに味覚が違うっていうんですか。
でも、今の時代、
どこの国でも探せば人参も大根もジャガイモもトマトもあるし
それを使って作る物というのはそんなに特殊な味はしないので
出来上がる味覚というのはあまりズレが無いんですよね。
でも、そのを味覚が変わるまで特殊な味にさせるのは、
その土地にしかないスパイスや
その土地でしか作れない発酵食品だと思います。
例えばフランスはワインとチーズ、
日本は日本酒と麹を使った食品、台湾は臭豆腐
といったように国ごとにできるものが違うので味覚が変わると。
ですから同じような物を作ったとしても
その国の人たちに楽しんでもらうためには
若干のアレンジが必要になりますね』。

++ Right now ++

パティシエという仕事柄、
普通の人の10倍くらいの量のお菓子を試食していて
年齢的に代謝も低下しているので気を許すとスグにお腹が出てしまうので
意識的にカロリーを消費するために
普段はエスカレーターやエレベーターを使わず
できるだけ早く歩くよう心がけているとか。

『まず自分の体が大きくなってしまうと、
明らかにそれを食べるとそうなるという
モデルケースになってしまうので、自分を戒めるつもりで摂取と消費を
できるだけ整えるようにしています』。

料理に関しても確固たる考えをおもちの成田さん・・・

『料理は“調味”と言われる部分と“調理”と言われる部分があって、
調味は醤油、塩、胡椒などをかけることで、
調理は生の物をそのままで食べたり
焼いたり煮たり。
その時に生の物の味が上がっていくのが調理ですよね。
それで結果的に2〜3日腐らないようになったりとか…。
最近は調味の部分に重きが置かれるようになっているので、
調味された物を食べた時に
栄養としてどれくらいお腹に入ったかが理解できないんですよね。
ですから、意識的に薄味で食べるように心がけていると
体がその薄い味の中から
何を食べたかをキャッチして
脳に信号を伝達してくれるので満たされると思います』。


++ From now on ++

ここ数年、パプアニューギニアで積極的に活動されており、
流通や輸出入から生じる価格高騰を可能な限り抑えて
美味しいチョコレートを提供したいという思いがあるそう。
チョコレートはフランスの植民地だった地域で昔から作っていることが多く、
それをフランスが買い上げて日本に輸出するとフランス国内の4倍くらいの
値段になってしまうことから、
現地で自分好みのカカオ豆を調達して発酵させ
ドライにして日本に持ち帰って作っているので
安価のチョコレートを提供することが
可能になったということです。

食育については・・・

『極端な話かもしれないですけど、
調味された物をあまり食べさせないほうが
良いと思います。調理されている物を食べる。
まず最初に素材の味を記憶すること。
離乳食はほとんど味付けせず煮てくたくたにしたような物を食べさせますし、
そのレベルからがベストなんじゃないのかな。
結局、心地いいとか美味しいというのは記憶に左右される部分なので
その記憶が残る前にいろいろな物を食べてしまうと
雑種になってしまうんですよね。
素材の味を覚えさせることが食育につながると思います』。

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