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STORY

2019.02.02

舞踊家の梅川壱ノ介さん

++ Introduction ++

舞踊家の梅川壱ノ介さん。
梅川さんが演じる「日本舞踊」とは、芝居や立ち回り、ともに
歌舞伎の要素の一つである踊りの「舞踊」だけに特化したもので、
特殊な衣装を着たり、メイクやカツラをつけたりはせず、
紋付袴姿で踊る「素踊り」というスタイルが一般的だそうです。

『素踊りは勇気が必要で、結構チャレンジなことかもしれませんが、
僕はどちらかというと“こしらえ”をせずに自分自身を見てもらいながら
若い人たちがより見やすいように窓口を広げていきたいと思っています。
紋付袴姿の普通の人が踊っているというように少しでも敷居を低くして
日本舞踊に入りやすくできたらいいなということから、
自分は“素踊り”をスタイルにして踊るようにしています』。

本来、日本舞踊は長唄、常磐津、清元などのしっとりした音楽で踊るものが
多いそうですが、梅川さんは元バレエダンサーというキャリアを活かし、
津軽三味線にテクノ系の音楽を乗せ、照明もガンガンに効かせた中で
そこに負けないような振りを付けるにはどうすればいいのかを考え、
グランジュッテなどのバレエの振りも入れながら紋付袴姿で踊ったとか。
ただしこれは演目のコンセプト次第であって、
基本的には格式や品格を重んじる
日本舞踊しかやらないそうです。



++ Until now ++

高校生まで純粋にバレーボールに打ち込んでいたなか、
たまたま中学3年生の時、
地元の大分県日田市にも近い福岡で劇団四季の公演、
「美女と野獣」を観てミュージカルが好きになり、
“この世界に行きたい”と思い、
高校入学のタイミングから歌のレッスンを始め、
ミュージカルには不可欠という理由で
18歳からバレエを習うようになったということです。

『あの華やかさですかね。幕が開いた瞬間に
“あ、これだったんだと”思いました。
やりたいことはいろいろありましたが、自分の中ではしっくりきてなくて、
自分はこういう世界に行きたかったんだ、
ということがその時に分かりました』。

「東京バレエ団」に入団し、海外ツアーで訪れたヨーロッパで
ご自身が舞台に立つ劇場に入ると、
たまたまオーケストラのリハーサル中だったそうで
劇場を含めたその雰囲気全体に感銘を受け、
帰国後もそれを忘れることができず
自分は日本人だから日本の伝統芸能をやってみたいと思うようになったとか。

『真髄が分からばければ自分の中には何も入らないと思って悩んでいたところ
3年に1回実施される
「歌舞伎俳優養成所」の募集の年だったので
これは行けということだと思いバレエ団を辞めて
試験を受けて養成所に入りました。
当初はバレエ団に在籍しながら日舞を習おうと思っていましたが、
稽古して習うことも勿論素晴らしくて本当に良いことだと思うんですけど、
真髄を知るにはその世界の第一線に就かないと
本質は分からないということを
バレエ団での経験から感じていたので、行くしかないと思いましたね』。

歌舞伎の養成所に入って日本舞踊を習い始め、入所後2年目に
初めて坂東玉三郎先生と出会い、
先生の世界を知って教えてもらったことが衝撃的で、
その無駄が無い動きの美しさに魅了されたとか。
正直で真っ直ぐな心がそのまま最小限の動きで表わされているところが
玉三郎先生の凄いところだということです。

歌舞伎を離れて舞踊家となった現在、
梅川さんは坂東玉三郎さんのトークショーの
相手役として日本各地をまわって同じ舞台に立たれています。

++ Right now ++

意識的にプライベートな休みを取るよう心がけているという梅川さん。
仕事で煮詰まって、それをどのように解消すればいいか分からない時は
大自然に囲まれた場所に行って大好きな温泉に浸かったり散歩したりして
心をゼロに戻す時間を過ごすようにしているそうです。

『煮詰まると自分では気付かなかったりするじゃないですか。
集中して何かをやり続けていると年に一回くらいあったりするから
それは良くないことなのでそういう抜く時間は凄い大事ですね』。

バリ島が好きで以前は何度も行っていたそうですが、近年は公演などの仕事で
海外に行くことが多く、その移動だけで疲れてしまうことから
プライベートは軽井沢など国内で過ごしているとか。



++ From now on ++

日本舞踊の基礎である「摺り足」ひとつで魅せられる舞踊家もいて
それは日々の鍛錬であり努力の賜物だと思っているそう。
乗り越えたい課題に向き合って、しっかりそこと繋がっていることを
常に意識して日々を過ごされているとのことです。

『過程が大事で少し気付いた自分、
もっと気付いた自分、納得した自分というのは
それぞれ表情が違うと思うんですよね。
それこそが舞踊家の魅力だと思っていて、
その過程の中でフレッシュだったり、ちょっと自信がついてきたり、
しっかりと地に足がついているかもしれないし、
それで踊りは変わるじゃないですか。
そういったことを楽しんでもらえるのが
舞踊家としての一つの醍醐味と思っています。
だからこそ乗り越えたい課題というのは
死ぬまでやり続けることだと思いますね』。

敷居を低くしてより多くの人に日本舞踊を観てもらいたいと思う反面、
そればかりを考えると媚びているように見えたりするので、
絶対にやってはいけないことだと思っているそう。
その中で、元タカラジェンヌたちとの共演による
純古典の日本舞踊、クラシック音楽とのコラボ、
映像とリンクし和の動きをするコンテンツとして踊るアート作品、
ファッションショーのオープニングアクトでの舞踊など
ハードルを少しずつ下げて
日本舞踊に馴染みがない人たちに近付けていきたい、と、
さまざまな取り組みをしていらっしゃいます。

『今後は自分がさらに露出することで
この人の踊りを観たいと思ってもらえれば
日本舞踊の世界をもっと皆さんに知っていただけますし、
自分が演じていることを
多くの方に好きになってもらえれば嬉しいと思います』。

2019年の梅川さんは3月〜4月がアメリカで3ヶ所、6月〜7月はアテネ、
9月はヘルシンキに行く予定で、各公演ごとに作品作りと稽古で2ヶ月くらい
要することから日本での舞踊公演は年末頃になるそうです。
その合間にいろいろなイベントで踊る機会はあるで、
スケジュールはSNSやホームページをチェックしてください。

ON AIR LIST

  • HIGH HOPES / PANIC! AT THE DISCO
  • WALTZ #1 / ELLIOTT SMITH
  • NO.1 / 槇原敬之
  • AGAIN / JANET JACKSON

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