STORY
独立系ベンチャーキャピタル「ANRI」のファウンダー、佐俣アンリさん。
++ Introduction ++
独立系ベンチャーキャピタル「ANRI」のファウンダーで、
ベンチャーキャピタリストとして活躍されている佐俣アンリさん。
金融機関や事業会社からお金を預かって、スタートアップ企業に投資し
その会社が成功するのを手伝う仕事をされています。
『いろいろな人にいろいろなやり方があると思うんですけど、
私自身がもともと自分で事業をやるスタンスだったこともあって
すごく頑張って仕事をしている人に、その仕事のアドバイスというのは
あまり無いんじゃないかなと思っています。
どちらかというと、
“夜が遅くて辛い”とか“奥さんと仲が悪いけどどうしよう”
といった話をお茶をしながら聞けたほうが
いろいろな手伝いができるなと』。
「スタートアップ」には様々なケースがあって、
社員200〜300人で上場を目指している企業から
30人規模の会社の場合もあるとか。
佐保さんが手がけているのは“創業期”と言われるような本当に何も無い
高校生が一人だけで会社を作りたい
と言われてスタートすることもあるそうで、
投資する判断は何かをしたいという時に、その表現の仕方はさて置き
どれだけ“前のめり”になっているかが肝心だということです。
『設立の初期段階に起業家に投資する“シード”の期間だけのつながりで、
会社が大きくなればファンドとしては手が離れてしまうので
演歌の世界みたいなんですよね。
“成功します!”と言っていきなり成功する人はあまりいないし面白くないし、
みんな失敗するんですけど、失敗のストーリーが面白いじゃないですか。
共同創業者同士が喧嘩したり、
渾身のサービスを提案しても誰も使ってくれないとか、
そういう様子を見ていつも笑っています。
僕が笑わないと誰も笑ってくれないので。
出資することが仕事ですから、ある意味で監督者であって、
そんな僕が怒ってしまうと空気が険悪になってしまいますから』。
直近のカウントで「ANRI」が出資しているのは101社。
中でも今、佐保さんが特に面白いと思っているのが
コスメの口コミ検索アプリを
提供している「リップス」というサービスで、
大学生二人が運営している会社に投資し
業績が伸びているということです。
『10〜20歳代の女性向けの口コミはもともと意外に無くて、
どちらかと言えば
インスタグラムやツイッターには出ていたんですけど・・・
コスメの話題や情報だけでまとめてみたら、2年くらいで凄く流行って、
会社も大きくなりました』。
++ Until now ++
佐俣さんが現在の仕事を志すきっかけとなったのは
大学生の頃に偶然出会った
村口和孝さんという方で、
DeNAの創業家にも出資したベンチャーキャピタリスト。
それ以前からファンドや投資に興味があり、
いろいろな人に会っていたそうですが
村口さんはそういった人たちとは全く違ってあまりに格好良く、
彼みたいになりたいと思ったそうです。
『村口さんは何も数字を言わない。
“その起業家と人生を寄り添って頑張っているんだよね”
と演歌歌手みたいなことを
ずっと言っていて、それが当時のボクには格好良く見えて衝撃でした』。
大学在学中からベンチャーキャピタリストを目指していた佐俣さんは
2年半ほど社会人を経験した後、現在の道に進まれたとのこと。
『5年目に初めてお預かりしたお金と
同じ額を返すというファンドの仕事としては
最低ラインみたいなものがあって、それを超えられたんですけど、
出資者の人がおめでとうと連絡してくれたんですね。
その時に初めてこの仕事をやっていて
本当に嬉しいと思ったのと同時にゾッとして
それまで1回も嬉しいと思ったこと無かったんだな。
自分は結構思いつめて仕事しているんだなと思いました』。
日本の独立系ベンチャー企業はまだまだ少ないそうですが、
ここ5年ほどの間に増えてきているとか。
インターネットなどで成功した会社の多くはベンチャーキャピタルから
お金を預かっていた人たちなので、
成功後は自分たちもベンチャーキャピタルを作る、
あるいは、お世話になったいろいろなベンチャーキャピタルの仕事に
出資するといった
2つのパターンがあるそうです。
“恩返し”という気持ちでいろいろな人に出資して回っていくことから
ベンチャーキャピタルは増えてきているということです。
++ Right now ++
プライベートと仕事はあまり分かれていないという佐俣さんは
起業家でもある奥さまと4歳の子どもの3人家族・・・
『妻とは12年くらい一緒にいますが、家庭では仕事の話しかしたことなくて、
趣味ですよね。大学生の頃から一緒にいて二人ともビジネスの話が好きで、
結婚する直前に二人とも別々に起業したので引き続き仕事の話をしています』。
情報収集に関してここ2年くらいは“本を読まない”と決めていて、
その代りに人から聞いた話だけで
ものを考えることを心がけているという佐保さん。
ご自身が信頼している人たちに会って今何を考えているかを聞き、
その情報を混ぜ合わせて自分の考えを作り上げているとのこと。
その理由は情報を増やしすぎても意味が無いから。
今、佐俣さんが大事にしていることについて・・・
『自分で自分を幸せにする責任をもちましょうということ。
自分を大切にしない人が多いので、自分を大事にすることをしてほしいなと。
特に起業家には仕事をし過ぎて自分自身や家族をおざなりにする人が多くて、
なんかあまり幸せなループが回らないじゃないですか。
最低限、自分自身は自分で幸せにする責任をもってねという・・・
世界中の人が自分を幸せにできれば世界中の全員が幸せなんじゃないかな』。
++ From now on ++
今、佐俣さんが投資したいと思っている業界として注目しているのは
量子コンピューターのジャンル。
量子コンピューターのコアな技術に関する大きい理論は東京工業大学の先生が
作っているにもかかわらず、日本にはそれを扱ったベンチャー企業が皆無なので
ゼロから産業を作る活動に注力されているそうです。
『挑戦する人を尊敬して皆が支援できるといいなと思っています。
何か新しい物を生み出したいという人たちに対して、まずその挑戦が面白いから
取り敢えずやってみましょうと言って、駄目だったゲラゲラ笑って次へ・・・
そういった挑戦をする人を皆が尊敬する世界を築けられればと思っています。
誰かがチャレンジしたいという時に皆が反射的に“それはいいね!”という
口癖をつけるといいと思っています』。
佐保さんの夢は世界一のベンチャーキャピタルを作ること。
『本当に憧れていた方がいて、この人みたいになりたいという思いから
スタートして、何となくできて、何となく生き延びられてきたんですけど、
最近やっと世界一に対して階段がある気がしたというか。
道が無いと思っていたんですけど、道が見えるかもと思うようになっています』。
ON AIR LIST
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SINCERITY IS SCARY / THE 1975
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SHA-LA-LA (MAKE ME HAPPY) / AL GREEN
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憧れてきたんだ / あいみょん
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NEW LIGHT / JOHN MAYER