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STORY

2019.01.12

ミュージシャン/音楽プロデューサー/「ONGAKUKAN」代表取締役の 向谷実さん

++ Introduction ++

ミュージシャン、音楽プロデューで業務用シミュレーターの企画・開発を
手がける会社「音楽館」の代表を務める向谷実さん。
現在の仕事バランスは、音楽3割、鉄道が7割だそうです。

『音楽でも会社経営でも
用意されたものを演奏したり作っていったりするよりも
どのようなことをしようかを考えることが中心です。
音楽の場合は作曲したりアレンジしたり、
会社でもいろいろな仕事を受けていますが
次はどのようなことができるかを頭の中で考えて、
エキスパートの社員と話して・・・
種を蒔くようなことを毎日やっています』。

会社の事業で最も力を入れている分野はトレイン・シミュレーター。
もともとゲームとして作っていたものが今は乗務員の訓練用になり、
現在も、JR東日本エリアの
全ての運輸区のシミュレーターを作り続けているそうです。
また、これまでに向谷さんが手がけられた発車メロディーは150ほどあり、
最初に数多く作ったのが大手私鉄「京阪電鉄」、
そして東京エリアで特にポピュラーになっているのが東急東横線渋谷駅とのこと。

発車メロディーを作曲する時に心がけているのは路線や沿線のイメージ、
鉄道会社のイメージ、車両のデザインなど様々な要素を意識すること。
『発車メロディーの場合は、
メロディーが鳴り終わるまでは絶対に扉が閉まらないので
最後のセーフティーですよね。そこから自動放送が入って扉が閉まると。
ですから最近は発車メロディーがあることで駆け込み乗車を奨励しているのでは
というニュースも一部にはあって、
そういうところもあるのかなと思うんですが、
一般的にはやはりこの音楽が流れているときはドアは閉まらない。
特に視覚障害をもたれる方にとっては非常に重要なものだと思っています』。


++ Until now ++

「撮り鉄」「乗り鉄」といったことばはなく、自由に旅行することもできなかった
青春時代の向谷さんの楽しみは「時刻表」を読むことで、
鉄道好きが高じて仕事に結びついたが「トレイン・シミュレーター」・・・

『1995年なんですよ。あの頃にCD-ROMが出てきて・・・。
80年代から音楽制作でMacのコンピューターを使っていたので、
映像を編集して可変再生して電車の運転ができたらいいなと思いました。
鉄道を運転できるソフトが無かった時代ですから
最初は自分で楽しみたくてプライベートな気持ちで作って世に出したんですけど、
鉄道ファンの人たちに喜んでもらえて、すごく売れたんですよね。
自分が楽しみたいものが同じ様な気持ちの人には楽しめるだろうなということに
あとから気付きました』。

非常に稚拙なものから徐々にクオリティが上がっていく過程には
いろいろなことがあったそうで、鉄道会社用のソフトは会社同士が意識するため
JRだけでなく大手私鉄からもオーダーを受けるようになり、
ソフト用の撮影専用列車まで出してもらえるように。

ゲームソフトからスタートした「トレイン・シミュレーター」、
最新のものは乗務員の訓練用として作られていることから
撮影専用列車には前後と横に合計6台のカメラを搭載してあり、
運転手用の前方だけでなく出発したあとに車掌が後方確認するための映像も撮影し
運転手と車掌が連携しているだけでなく、車両故障を発生させて非常時の対応を
訓練できるなど、非常に細かくて項目も多くなっているとのこと。

『JR東日本の安全に対する投資は半端ないと思います。
普段から訓練していないと安全な鉄道運営は厳しくなるはず、
という意識でやられていて。
僕自身も仕事としてやらせていただいていますけど
素晴らしいなと・・・。
次のステップは全国の新幹線をやるので、
これから数年間は大変な仕事が続きます』。

++ Right now ++

昨年、向谷さんが25年ぶりに発表した
ソロアルバムのタイトルは『THE GAMES』。
スイミングやジムナスティックといった“競技”=“GAMES”という
オリンピック・ゲームス的な意識からネーミングされたとのことで、
作品のコンセプトは日本人と米人の共演による“イースト・ミーツ・ウェスト”。

当初、旧友でアメリカ在住の
ミュージシャン、ドン・グルーシンに企画を持ちかけ
データをやり取りしながら一緒に曲作りを進めていく中で制作が具体化し、
向谷さんは4人の日本人ミュージシャンと共にロサンゼルスに渡り
現地のミュージシャン5人と合流して総勢10名でセッションして
完成に至ったということです。

ミュージシャンとしてキャリアをスタートした向谷さんですが、
鉄道好きという趣味が仕事になったことについては・・・

『不安というよりワクワク感が堪らないですね。
趣味のもっている一番の良さはワクワク感で、それを伴って結果的に仕事になる
というのは理想的な姿だと思うんですよね。
いろいろな人に羨ましいと言われていて、それは謙遜したいんですけど
徐々に謙遜するのもおこがましくなってきて、今は“はい、その通りです”と』。



++ From now on ++

ここ最近、向谷さんが力を入れているのが駅の「ホームドア」。
視覚障害者の団体の方に話を聞いて日本の現状を知ったことがきっかけとなって
設置が容易い軽量のホームドアを開発し特許を取得されました。
また、伝え歩きや寄りかかることができるよう事業者の方にもお願いして
普及を進めているということです。

今の基本的な駅では、“触らないでください”とアナウンスされていますが、
視覚障害の方にとって“触れない、近寄れない”というのは厳しいということもあり
向谷さんが手がけてJR九州に導入されたホームドアはそれが可能に。
その代わり開閉する1秒以上前にメロディーが流れる仕組みになっていますが、
その音楽も含めて開発されました。

常にいろいろなものやことを自由に発想して行きたいという向谷さん・・・

『私の未来というのは、しいて言えば“こだわる”“人の役に立つ”“約束”という
3つの言葉でやっていきたいなと。シミュレーターやホームドアにはこだわって、
鉄道運転や駅を利用する人たち
安全という面で役に立つことができると思っています。
それと未来に向かって“約束”したいんですね。
さらに皆さんに役立つことをします、
皆さんに約束しますと発信していかないと、
必ずどこかでもういいやとなってしまうと思うんです。
絶えずアピールしていく気持ちがあれば何ができるかは分からないですけど
未来があるんじゃないかなと』。

ON AIR LIST

  • LAST TRAIN TO LONDON / E.L.O.
  • LOVE TRAIN / O’JAYS
  • THE GAME / 向谷実
  • MIDNIGHT TRAIN / SAM SMITH

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