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STORY

2018.11.03

アナログ・レコード・プレスメーカー「東洋化成」のカッティングエンジニア、西谷俊介さん

++ Introduction ++

11月3日、「レコードの日」にお迎えしたのは
アナログレコード・プレスメーカー「東洋化成」で
カッティングエンジニアとして
活躍されている西谷俊介さん。
近年、世界的にアナログレコードの人気が復活している状況について伺うと、
海外では物であればレコード、デジタルは配信という二極化が進む一方、
日本はCDも一定量の販売数がありましたが、東日本大震災を境にCDの製造にも
影響が出たことでダウンロードの動きが加速し、
アナログレコードはフィジカルな音楽メディアとして
再注目されたのでは、ということでした。

また、デジタルで音楽を聴くと、
音楽自体がどのような方式で鳴っているのかは見えませんが、
レコードの場合は目の前でディスクが回って針が奏でて音を鳴らしているので、
“何でこの溝から音が出るのだろう”という不思議な感覚がある点も、
時代が変わって初めて目にする人にとって、新鮮に感じるのではとのこと。

デジタルのほうが収録できる範囲や特性は広いですが
人間の耳は音が聴こえる限界があり、アナログレコードは可聴帯域の範囲に
収まっている録音のものが比較的多いので、そういった面では大きな音でも
小さくても耳には優しく聴こえるという感覚があるそうです。

カッティングという作業はレコードの原盤を作る最初の現場で、
レコード盤は30センチ、25センチ、17センチという3つのサイズがあり
それに対して1分間に33と3分の1回転と45回転の二通りあるので、
その組み合わせによってレコード盤に入る音の時間や特性が変わるということ。
西谷さんは音源を聴いて、どのような音になるだろうというイメージをしながら
勘と経験を活かして音を調整してカッティングするそうです。

『音源の収録時間から1本の溝をこの位の太さにすればレコードに収まるな
というのがLPの場合は溝が掘れるスペースは9センチ弱くらいしか無いんですね。
例えば20分と10分の収録時間では溝の本数が倍で10分だと半分になるので、
その分音量を大きくして溝を広げて収録することが可能になります。
そういった部分も含めてどの程度の音量を入れられるかについて音源を聴きながら
考察していきます』。

「東洋化成」では個人でも最低100枚からオーダーが可能ということです。


++ Until now ++

当時はCDブームだった中学生の頃、
父親の知人からオーディオセットとビートルズのレコードを頂いたことから、
アナログにのめり込んでいったという西谷さん。
音楽活動をしていた12年ほど前、
ご自身のレコード盤を作った時に「東洋化成」を知り、
自分の音源がカッティングされるのを現場で見てから興味をもち
その1年半後にカッティングエンジニアの募集に応募して、
入社されたということです。

『入社して5年間くらいは製造枚数も下がっていたのでスタッフも限られた人間で
作業していて。私もカッティングで入社しましたが、
当初は毎日カッティングするほど
仕事量はありませんでした。ですので、プレスやスタンパーから営業まで含めて
一通り経験できたので、10年経ってみて良かったと実感していますね』。

アナログレコードを購入する際のポイントについて、カッティングの視点で本当に
良いカットをしているレコードもありますが、曲数が多かったり収録時間が長いと
必然的に音質は望めないので、
そういったレコードはあまりお薦めできないとのこと。
ある程度の収録時間で盤質も綺麗で反りやムラが無ければ“買い”という判断です。

++ Right now ++

音楽以外の趣味は料理。家庭料理であれば大体何でも作れるとのことで、
気分転換にもなって音楽とは違った意味で
一日に2回なり3回ある幸せという西谷さん。
今年、ジャマイカに行って食べた料理がとても美味しく、
現地で料理を教えてもらい
スパイスなども購入してきて家で試作して楽しんでいるそうです。

2週間のお休みがあったら・・・

『今回、ジャマイカに行って本当に印象に残ったので、
2週間あるならまたジャマイカに行って音楽も料理も勉強したいと思います。
レコード文化ではドイツに行ってみたいです。
カッティングマシンの機械がもともとドイツ製なんです。
ヨーロッパはドイツ製のマシンを使っているスタジオがとても多くて、
ドイツには修理やメンテナンスなどの技術も含めて
ノウハウを知っている技術者が
いらっしゃると思いますので一度訪れてみたいですね』。



++ From now on ++

近年の日本のヒップホップやJ-POPは音圧が高いものが多いので
音源によってはレコードの相性に合うように調整しないと音が歪んだり
針飛びの原因になるそうですが、そういった処理を施すと音のキャラクターも
変わってしまうため、歪まず針飛びしない範囲の中で調整して顧客が理想とする
音にするという点で最近の音を扱うのは難しい面があるということです。

アナログレコードの人気が続いていくためにメーカーとしては・・・

『時代時代によって製造数からニーズも含めて変わってきますので、
その範囲の中でお客様の要望に答えられたクオリティのものを
作り続けていくことが
メーカーとしては重要だと思っています。
実際にレコード全盛期の頃から現在に至っては薬品の規制、機械の故障、
人員の削減などがあって昔と全く同じレコードは作れないんですね。
ですので、現代でできる範囲の中で作っていくしかないとは思っています。
機械自体も古い物が多いので、
この先、物理的にレコードをカットした物を残していくということであれば、
古くなった機械の刷新が必要になる時期は近くなっていますね』。

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