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STORY

2018.09.01

株式会社「machimori」代表取締役/NPO 法人atamista代表理事の 市来広一郎さん

++ Introduction ++

90年代以降、観光客の激減によりホテルや旅館が相次いで撤退し、
“衰退した観光地”“さびれた温泉街”と言われた熱海の人気を
V字回復させた市来広一郎さん。
熱海に住んでいて感じるのはとても過ごしやすくいい街だということ。
家に引いた温泉に入って、美味しい魚が食べられて、
海から上がってくる日の出を
毎日のように眺めることができるという日常のちょっとしたことが豊かで、
その一方、観光で来ても楽しいという、
その両方が混ざり合っているところが
熱海の面白さであり魅力だと感じているそうです。

熱海人気のV字回復についてメディアで取り上げられたこともあり
ここ数年、若い年齢層の観光客が増えているということですが、
この復活に大きな役割を果たされた市来さんによれば・・・

『僕がどれだけ貢献したのか分からないですけど、
観光客以外にも若い人たちの熱海移住や東京との二拠点居住など
面白い人たちが続々と
東京から熱海に入り込んできてくれているという・・・
そこは僕らがやっていることも
少しは効果が出てきたのかなと思っています。
観光で復活しただけではなく、
熱海に引っ越して来て新しい事業を立ち上げたり
アーティストで熱海を拠点に始めた人など面白くて変わった人たちが
たくさん入ってきてくれています。
20〜40代の方々が増えてきたと思います』。

当初、圏外から人を呼び込むことよりも
熱海で暮らす人たちが地元の魅力に気付いて
ファンになってもらうことが大事だと考えた市来さんは地元の人に向けた
体験ツアーを行って熱海の魅力をじわじわと広げる活動をされました。

地元の人たちを対象にされた理由について・・・

『海外を旅していて
地元の人たちが楽しそうに暮らしている姿は一番印象に残るし、
そういう人たちと会話できると楽しいなぁ、
もう一度行きたいなと思って。
まず、熱海は10年くらい前に問題だったのは訪れてくれた人たちの満足度が
低いというのがあったので、そこから変わらなければと。
その為には地元の人たちが地元を好きにならなければと思ったからですね』。

その後、市来さんは熱海の街中のシャッター街に注目されて、
空きビルや空き店舗を再生して宿泊施設や店を作ったり、
新規で出店を考えている人に物件を紹介するといった、
不動産を活用したビジネスで自分たちの生計を立てながら、
同時に街を変えることができるようになったということです。

小さい商店街に集中して何店舗も空き物件を再生していくことを続け、
あまり使われていない道路でマルシェやイベントを開催するなど、
小さいエリアにこだわって継続したことで徐々に人が集まってきて
メディアでも取り上げられるようになりました。

熱海の人気がV字回復した最大の要因について市来さんは・・・

『今、他の街にも関わらせていただいていますが、
やはり人だなと思うんですね。
その地域を何とかしようと思ってある程度のリスクを取りながらも
やり始める人たちがいるか、やり続けられるか・・・ そこが重要。
熱海はそういう気持で
行動する人たちが多かったことが大きかったと思っています。
やらないと何も変わらないので』。



++ Until now ++

1979年生まれの市来さんにとって熱海が崩壊し始めたのは中学生の時で、
ちょうどその頃に熱海や伊東で群発地震が続いたことも重なって
急に観光客がいなくなったことが印象に残っているそうです。
街の雰囲気は悪くなり、身近では暗いニュースばかりだったので
当時、知らず知らずのうちに中学生でも何か感じるものがあったとか。

東京の大学を卒業されたあと、コンサルティングの仕事をされ、
企業の組織のカルチャーや風土を変えることを手がけていましたが、
その経験から得たノウハウは、熱海の停滞した雰囲気や閉塞感を変えたいという点で
現在の仕事に活かされているとういうことです。

『企業で学んだことも、街の雰囲気や空気感を変えることも、
実はハードを変えなければならない。
環境を変えていくことによって人の行動や意識が変わるということを学びました。
だからこそ、シャッター街を再生することが重要だと思っています』。

++ Right now ++

現在、熱海で「ゲストハウス マルヤ」を運営されている市来さん。
熱海銀座に位置する江戸時代から続く「丸屋喜助商店」のビルにありますが、
過去のストーリーも受け継いで、
そのビルのオーナーさんが熱海についていろいろと
教えてくださったこともあり、「マルヤ」という名前をつけたそうです。

キャッチコピーは「泊まると熱海が癖になる」。
地元の人も旅人も集まって来て、ここを拠点に街を楽しんでもらう場なので
飲み歩いたり温泉に入りに行ったり、街の中で過ごすことを楽しんでもらって
誰もが熱海を好きになってほしいとのこと。

熱海で特にお薦めスポットを伺ったところ・・・

『まさに僕らが活動しているエリアの熱海銀座、銀座通りですね。
そこに来ていただければ、
うちのゲストハウスではディープなお店を紹介できますし、
美味しいジェラート屋さんや熱海で話題の「熱海プリン」のお店もあります。
新しいものと古くからあるものが融合しているような面白い商店街で、
今、熱海の魅力を一番感じていただける場所だと思います』。



++ From now on ++

約10年間の東京生活の中で月一回のペースで熱海に戻っていた市来さんは
忙しい東京での仕事や暮らしの合間に
熱海で過ごす時間が心地いいと感じた経験から、
そういった生活スタイルの場として熱海を利用してほしいと提案されています。

熱海は観光地というイメージが強いですが、観光でもなく移住でもなく
その間のいろいろな使い方として週末に行ったり、年に一週間滞在したりと、
今後、もっと多様な過ごし方ができる街になっていけば、
熱海はより再生するのでは?といったことを常に考えているそうです。

市来さんが熱海銀座での次のステップとして考えているのは
今は車が走っている場所を緑化して公園にすることで、
行く行くは道路でキャンプして、皆んなでお酒を飲んだり話をしたりという
楽しそうな風景が広がれば面白いし、場所の価値はさらに上がって、
そのエリアに出店したいという人も増えていくはずということで、
“まずはそのために道路の真ん中に大きな木を1本植えたい!(笑)”
というお話でした。


最後に市来さんの目標について・・・

『僕は2030年に熱海が独立するというのが目標なので・・・熱海国。
これは半分冗談、半分本気で言っているんですけど(笑)、
そのくらいに地域が自立していくことは大事だと思っていて、
全国各地の街が独立したら面白いんじゃないかなと・・・ 
まぁ江戸時代みたいな。
それで僕は2030年に熱海の街づくりの活動から引退したいと考えています。
僕らは温泉も含めて良い資源やものを受け継いでやってきて、
何か1ミリでもいいからプラスにして次の世代にバトンタッチすることが
街の再生だと思うので、
あと10年くらいは思い切って走り続けたいと思っています』。

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  • SOULMATE / JUSTIN TIMBERLAKE
  • A LOVE SONG / EGO WRAPPIN’
  • 宝石の雨 / PERFUME

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