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STORY

2018.08.04

株式会社コルク代表取締役社長/編集者の佐渡島庸平さん

++ Introduction ++

『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』『働きマン』などの
大ヒット漫画の編集者として活躍され、
現在は「株式会社コルク」の代表取締役社長を務める佐渡島庸平さん。

世界的に見ると作家はエージェント会社に所属するのが一般的な仕組みですが、
佐渡島さんの会社員時代は日本の場合は所属事務所が存在せず、
出版社と作家が直に仕事をしていました。
漫画が世界的に有名という話もありますが、実際に人気なのはアニメであって
海外で漫画は読まれていない状況がもったいないと思い、
世界基準になるエージェント会社を立ち上げようと考えて独立されました。

これまでは出版社と作家の間だけの契約形態でも差し支えありませんでしたが、
インターネット上での様々な仕事が一般的となったことから
それらを一括管理してプロデュースする人が必要になり、
その役目として存在しているのが「コルク」です。

「コルク」での活動と並行して佐渡島さんが運営されている「コルク・ラボ」は
作家ごとにファン・コミュニティを育てたいという思いから立ち上げたもので、
「コルク」に興味がある人を中心とした“コミュニティを学ぶコミュニティ”。

現在、200名ほどが在籍して各々が独自で企画を立案して遊んだり、
Twitterやブログを書いて互いに刺激を受け合いながら月に数人のメンバーが
ネット上で口コミなどを通じて話題になっているそうです。

多くの人は自分の気が向いた時につぶやく道具としてTwitterなどを利用しますが、
メディアになるためにはスケジュールを決めて、“自分たちを個性立てる”企画を
立てていくことが重要で、SNSの上でも同じような使い方をしていくと
個人メディアが立ち上がり、継続しているとそれを楽しむファン・コミュニティが
生まれるということです。

漫画の編集者として数多くのヒット作品を手掛けられている佐渡島さんですが、
作家の才能の見抜き方について・・・
『一番は観察力。結局、物語は人の感情をストーリーで伝えるものなので
その人の新人賞の原稿を見て、
どの表情をどのように描いているという部分を見ます。
絵が下手でも悔しい時の表情が上手いな〜とか、ちょっとした時の悔しさを
上手く描いているなと思うと、その観察力がある人に上手いお題を出せば
面白い物語を描き切るなと思います。感情を描けるかどうかです』


++ Until now ++

子供の頃から漫画、小説、映画が好きで、本以外に興味が無かったことから
小説の編集者になりたいと思っていたという佐渡島さん。
講談社に入社して2ヶ月間の研修後に配属が決まり、
その日、いきなり井上雄彦さんと打ち合わせに出席した時に
『これがやりたかった仕事だ』と思ったそうで、
新入社員であっても編集者という肩書きで
その打ち合わせに出席していたので
本人曰く、『いきなり、ガシガシ (笑)』。

中学時代を南アフリカ共和国で過ごされましたが、
アパルトヘイトが終わってネルソン・マンデラが大統領になるまでの期間を
体験されたことはとても影響があったそうで、
現地にいて最も印象的だったのは
激動の時代にもかかわらず激動と感じないということ。

『世の中の変化は歴史の教科書で見ると、
このタイミングで変わりましたという形で
何か大きな変化が起きていると感じと思いますが、実際に生きている時は
ゆるやかにしか変化していないし、その中心にいる本当に一部の人間にしか
これが偉大な出来事だということが分からないだろうな・・・
というのが南アフリカにいて一番思ったことです』。

佐渡島さんが会社を辞めたのは2012年ですが、2010年から2030年位までが
世の中を本当に変える新しいルールができるタイミングだと感じているそうで、
その時に政治闘争や人を殺す必要もなく、
ビジネスで自分が何を善と思っているか
ということで多くの人にお金という形で応援してもらいながら
新しい社会の枠組みを作ることができる
本当に貴重だと思える20年が来ていると感じているそうです。

『実際に経営者の人たちと会っていると面白いのがお金に興味がある経営者は
あまりいないんですよ。
みんな青臭く自分にとってはこういう世界がいい世界だと思っていて、
そのためにお金も必要だねと。お金は道具だとしか思ってなくて、
お金が目的で起業している人たちの会社は結構、たいしたことなくて・・・。
お金はどうでもいいと思っている人たちの
会社が一流になるという様相を見ていると面白いですね』

人々の生活が楽になって労働しなくてもよくなると時間に余白が生まれ
誰もが自分のココロと向き合うようになるので、
ココロを取り扱うエンタメが最強という時代が来ると感じているそうです。

ココロをリラックスさせたり気持ちよくさせるものがビジネスの中心になる時代に
それを実現できるのはクリエイターであり、何か物を作ってそれを他人に届けたり
渡したりする行為がこれからの時代のメインの産業へと移行していくと考えて
今はそのための準備をしている段階だということです。

++ Right now ++

完全に仕事を忘れてプライベート・モードになることはありませんが、
逆に仕事だと思って仕事することはなく、日頃考えているのは
どのようにすれば新しい遊びを見つけられるかということ。

例えば、野球の試合を観戦して、それ自体が面白いとしても
選手に心拍数が分かる器具を取り付けて
ピッチャーとバッターの心拍数を見ながら
一球ごとにどちらが勝つかを賭けながら観戦するといったように
今まで通りの世界に別の情報を足すことによって面白さが変わる・・・
現実に情報を上書きできる時代が来ているので、
どのような情報をネタとして
上書きすれば面白くなるかということを想像しているそうです。


++ From now on ++

今まで本は読めば終わりでしたが、今後はその世界観をより味わえる体験が
重要になると考えているそうで、作品の中にトリップするきっかけとなる
道具みたいなものを生み出していきたいということです。

佐渡島さんが編集を担当した
代表作「宇宙兄弟」から派生した「せりか基金」は
物語の中に出てくるALSという病気の治療方法を
見つけるための研究開発費を
集める活動です。「宇宙兄弟」の中には“本気の失敗には価値がある”という
言葉がありますが、失敗を恐れない形で研究者にお金を寄付し続けていて
2028年までにALSを治る病気にしたいという思いがあるそうです。

夢、目標について佐渡島さんは・・・
せっかく起業して挑戦しているので、
社会の枠組みを良い方向に大きく変えられれば
と考えていて、多くのクリエイターにとって良い仕組みを
「コルク」という会社を通じて実現できればということです。

『無限にやることはあるので、そのどれが正解か分からないだけであって
必ず正解はあると思っているので。ただ、正解が複数あると思うので、
たくさんトライするに限ると思っています』。

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