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STORY

2018.04.21

鉄道ライターの土屋武之さん

++ Introduction ++
土屋さんは、鉄道ライターということで、プロとして鉄道を見て書くため、
鉄道に関してはあらゆることを守備範囲にして仕事をしています。
そんな土屋さんの出発点は「乗り鉄」。時刻表を見て、
「行きたいなこういうところ・・・」と想像していたのが小学生時代。
小学校高学年ぐらいになると、新幹線に乗っておばあちゃんの家まで
一人で行っていたとのこと。
今、一番個人的に行きたいところは、北海道の宗谷本線。
5月ぐらいになると初夏の北海道は景色だけでも見る価値があるのだそう。
そして、もうちょっと視野を広げ、
宗谷本線は日本の最北端まで行っているのですが、
その向こうにロシア領のサハリンがあるので、
今、一番外国に近い鉄道でもあるんじゃないかと。
異国情緒を感じ、さらにその向こうのロシア、ヨーロッパに繋がる路線として、
宗谷本線を見てみたいとのこと。

『あと、東北だといわゆる昔の東北本線、奥羽本線、羽越本線と
3本単線があって、その間を横に繋ぐ路線っていうのが僕は好きで、
例えばですね、いずれも奥羽山地を超えることになるんですよ。
だから、平野部から始まって、山を越えて、再び平野に降りていくと。
で、それぞれの路線が色んな個性を持っているんですよね。
例えば、磐越西線なんかは、郡山から新津までの路線ですが、
会津若松まで上るときに、ずっと右手に磐梯山がついてくるわけですよね。
で、あそこかつては特急も走っていた路線ではあるんですが、
高原鉄道の雰囲気は一番好きで、非常に標高の高いところを右往左往する、、、
まっすぐ走るよりカーブした方が面白いですよね。
そういう高原列車の雰囲気が一番感じられるということで、
磐越西線が好きですね。』

土屋さんは鉄道にまつわる数々の著書をお持ちですが、
『誰かに話したくなる大人の鉄道雑学 新幹線や通勤電車の
「意外に知らない」から最新車両の豆知識、基本のしくみまで』
という著作も出しています。
ということで、土屋さんに鉄道にまつわるクイズを出してもらいました!
テーマは「鉄道の安全」。

初級:鉄道の信号は、赤・黄・青の3種類が基本ですが、その色の変わる順番は?

中級:信号というのは、線路をいくつかに区切った‘ある区間’の入口に
立っているものなんですが、その区間の名前はなんでしょう?

上級:閉塞区間が鉄道の安全を守る基本ですが、
今、JR東日本がその閉塞区間に頼らない無線を利用した安全装置を開発して、
仙石線や埼京線などで使い始めています。その名前はなんだったでしょうか?


<答え>
初級:赤が基本で、黄色になり青になる。鉄道は道路とは逆で基本が赤になります。

中級:閉塞区間。信号は閉塞区間の入口に立っているので、
つまり、その閉塞区間に入っていいかを示すもの。
基本入ってはいけないのですが、入って良いときだけ青に変わるとのこと。

上級:アタックス


++ Until now ++
土屋さんの出身は大阪で、物心がついた頃から鉄道が好きだったそう。
幼稚園の頃、父親が出張の多い仕事をしていたため、家に時刻表があり、
そういうものに土屋さんが興味を示したため、
父親が「この間、この寝台列車に乗ったよ」など、話をしてくれたのが
一番古い記憶。
インターネットのない当時の情報源は、時刻表で、
中学校に入ってから鉄道雑誌を読み始めたとか。
大学では演劇に打ち込み、その後、雑誌「ぴあ」に就職した土屋さん。
「鉄道」はあくまでも趣味で、中学、高校、大学、就職してからも
仕事にはしたくないという思いは持っていたそう。
高校生の頃に声優の仕事を知り、そこに少し憧れ、
演劇をやってみようと思ったといいます。
そんな中、趣味を仕事にするキッカケは、「仕方なく」だったといいます。
色々事情があり、「ぴあ」を4年ほどで辞め、
兵庫県立ピッコロ劇団という兵庫県が作った劇団の仕事を2年ほどし、
そこを辞めちょうど30歳の時に、
「さて、何をしよう。どうやって食べて行こう」と思ったときに、
「ぴあ」で出版については教わっていたのでライターの仕事をやろうと
思ったのだとか。
ただ、そのときは、まだ鉄道について、
こんな素晴らしい文章、自分には書けない・・・と思っていたそう。
フリーライターになってガイドブックなどの仕事をしていましたが、
大阪だと仕事が少なかったので、仕方なく上京し、
やっているうちに鉄道雑誌に人脈ができ、「書いてみないか」と言われたのが、
33、34歳頃で、そこがキッカケだったそう。
趣味を仕事にして後悔したことは、鉄道を楽しめなくなったこと。
お金を払って楽しむのと、お金を得るために苦しむことは180度違ったそう。
逆に良かったことは、やりがい。子どもの頃から鉄道に愛着を持ってきたので、
そういうことに深くかかわれる職業につけるのは
仕事としてのやりがいが持てたとのこと。

++ Right now ++
完全にプライベートの旅はなく、ほとんどが取材。
何年かに1度、外国に行ったりするときぐらいだそう。

思い出の旅は、ちょうど大学を卒業する頃バブル時代で、
みんな海外に行っていたので、土屋さんもヨーロッパへ。

『当時は、本当に昔の日本で言ったら1950年代から60年代の
古き良きヨーロッパの鉄道の最後の時代を感じられた。
トランスヨーロッパエクスプレスとか夜行列車とか、
かつてのワゴン・リ社の長距離夜行列車なんかの残り香を感じられたのが
その時期だった。』

海外でのオススメは、北欧諸国。一番好きなのは、ノルウェー。
フィヨルドに代表されるような複雑な地形があるということは、
絶景だらけということ。
もちろん緯度が高い国なので、これから夏にかけて行くと、
夏至の頃は北極圏に入ると日が沈まなくなり、
逆に冬至の頃は一日中、陽が昇らない。
でも、オーロラが見える鉄道に乗ることができるのだそう。


++ From now on ++
鉄道ライターとして気になる鉄道の未来は、

『やっぱり大きな影響を与えるだろうなと思っているのが、
日本全体の課題でもあるんですけれど、少子高齢化でしょうね。
多分、僕らが小学校だった頃と、市川さんが小学校だった頃と
随分子どもの数が違っていると思うんですよ。
で、尚更今、小学生ぐらいの子どもは少なくなっている。
ということは、20年ぐらい経った後には
通勤客だいぶ減っちゃうんじゃないかなと。
仕事に就いている人の人口がどんどん減りますから。
通勤客が減っちゃうと通勤ラッシュは楽になるかもしれないんですけれど、
例えばこの間、小田急電鉄の複々線が完成しました、大きな話題になりましたけど、
そういった大きな設備投資が通勤客が減っちゃうと無駄になっちゃうかもしれない。
その辺が、鉄道会社のさじ加減が難しいところで、
今、投資して今のラッシュを改善するのがいいのか、もうちょっと待つと通勤客が
減っちゃうかもしれないので、そこは手控えた方がいいのかと
悩みどころだと思うんですよね。
で、各社がどういう考えを持って、これから政策を広げていくかっていうのは
注目していますね。』

地方はさらに加速しますが、、、

『ついこの間、三江線が廃止になりましたが、
鉄道が廃止になるってことばかり、クローズアップされがちにはなるんですけれど、
沿線は今、すごい過疎地域で鉄道どころか
地域がなくなっちゃうんじゃないかというような状態になってきて、
これが今後良い方向に進むとはあまり考えづらいと。』

鉄道を観光資源として、地域活性化の役割については、、、

『過疎が進む、人口が少なくなってくる地域にとっては、
他所から遊びに来てくれる人、日本人・外国人限らずっていうのは命綱に
なってくると思うんですよね。
で、そこに魅力ある観光列車を地域の魅力とリンクさせて走らせると
それは大きな力になる。
その基軸になるのが鉄道じゃないかなと思っているんです。
三江線は不幸にしてそれがうまく活かせなかったですけれど、
今残っているローカル線でそういう取り組みやっているところも多いですし、
今後どういう魅力を鉄道そのものではなくて、地域の魅力とリンクさせて
アピールしていくかっていうところは我々も考えていかないと行けないですし、
客観的に見ていかないといけないところでもあります。
一種のエンターテインメントですから、
テレビとか映画と一緒で飽きられるとね、ちょっと怖い部分があって、
一巡りして、もういいや!っていうことになってしまうと
しんどい部分があると思うので、色んな角度から魅力を発信して、
2回目3回目来れるような仕組みをローカル線がやっていかないと行けない。』

あと、大きなテーマは「デジタル化」。
それはどのように進化していくか考えているかというと、、、

『先ほど、安全のお話したのが前振りみたいなものだったんですけれど、
ゆりかもめのような無人運行が可能な鉄道もあるんですが、
基本、鉄道の安全は、人間と機械がそれぞれの長所を出して、
欠点を補いあうという、そういう仕組みで守られているんですよ、
マンマシンシステムと言いますけれど。
例えば、人間はやっぱり間違いを犯しますよね、信号を見落としたりとか。
でも機械はそういうことはないと。でもその代わり機械は故障しますよね、
で、融通利かないですよね、とっさの判断ができない。
それを組み合わせて安全を守っているのが鉄道なので、
今後、機械の方がどんどん進化していったとしても、
人間がフォローしなきゃいけない部分っていうのは絶対残るわけなんですよ。
やっぱりそういうとっさの判断というのが機械が苦手とする部分ではありますし、
もう一つ言いますと、お客様とのコミュニケーション。
例えば、車内で急病人が出たときに
やっぱり頼りになるのは駅員さんであり、車掌さんだったりするわけで、
ローカル線なんかで、運転手さんに子どもが手を振ったりするということも
ありえるんですが、ああいうところが機械化になっちゃうと、
鉄道の良いところが消えるような気がしますね。
だから、鉄道から人間が消えることはないと思いますよ、人間を乗せている以上。』

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