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STORY

2018.02.10

開発者/AR三兄弟・長男の川田十夢さん

++ Introduction ++
「通りすがりの天才」という川田さんのキャッチコピーですが、
最初の頃のキャッチコピーは「公私ともに長男」。
というのも、AR三兄弟というユニットでも長男で、
川田家でも長男だったので、“公私ともに”と言っていたのですが、
わかりづらいという理由で、今のキャッチコピーに。
ということで、「AR三兄弟」は本物の兄弟ではなく、開発ユニットとなります。
3人組で、川田さんが他の二人を雇っているとのこと。
川田さんがシステムのアーキテクチャー(骨組み)などを考案して
特許や技術を作り、次男は映像を担当、三男はタイピングをやっているのだそう。
「三兄弟」にした理由は、兄弟と言われると親近感が湧くために、
難しさが半減する・・・と思ったからなのだとか。
AR技術は、技術革新によって色んな時間や空間が省略されるため、
その省略され生まれた余地に、何かをぶっこむという技術だと思っているとのこと。

ゲームのイメージが強いAR技術ですが、他の分野でも、
例えば、ARを使った医療であったり、
ARを使って渋滞を予期するシミュレーターなど、
プログラミングで現実に作用するものはだいたいARだと思っているといいます。
何かをセンシングして、人間の知覚では見たり聞いたり触ったりできないものを
可視化するのがARのひとつの役割。
オリンピックで言うと、夏季のプール競技で、瞬時に出る新記録の表記。
あれはARがとりざたされてないときからやっているんですが、あれ自体がAR。
そういったことがもっと色んなスポーツで出来るだろうと思っているとのこと。

ARの次の段階では、、、
選手の強化学習で、その選手が卓球のラリーなどで、
いつもどこに打ち返しているかを予測し、
次こっちにいつも打ち返すのに、でも、この時に限っては
こっちに打ち返したみたいなことをリアルタイムでシミュレートしながら
スポーツを楽しむ・・・といったことを、
東京オリンピック・パラリンピックの時にはできそうだなと思っているのだそう。

『練習の時に、超役に立つ鏡を最近開発していて、
鏡の前に立っていると、例えば素振りをやる、ヨガをやる、
で、ちょっとやってみた後に、妖精みたいなのが現れて、
妖精っていうかトレーナーなんですけど(笑)
「ここが違ってたよ」っていうのを鏡越しに教えてくれるんです。
鏡の前でダンサーが例えば踊っているじゃないですか。
ああいう人たちに「YO!YO!HEY YO!ヘイメン!ちょっと足首が良くないメン!」
って言ってきたら「あ、ちょっと直そうかな」ってなるじゃないですか。
人の形をしているとプレッシャーになるときがあるじゃないですか。
あと、なんか思われたら嫌だなっていうのが、
ちょっと人工知能とか鏡だったら、ちょっと恥ずかしくないっていうか、
この仕組みはいいんじゃないかと思って作ってるんですけどね。』

この鏡はすでに出来ていて、今のところは業務用ですが、
そろそろ導入店舗が出てくるそうです!


++ Until now ++
子どもの頃は、妹と民謡のユニットを組んでいたという川田さん。
民謡は面白く、民謡の先生に習いに行くと、譜面という概念がなくて、
最初に一曲歌って、その場で覚えなくてはいけない。
その“1回で捉えなきゃいけない”というニュアンスが、
川田さんの中でしっくりきたのだそう。
「音は目に見えない」…確かにそこに無いのに、そこにあるというのが
子どもの時に面白くて、そんな風に色んなものを見てしまったのだとか。
例えば、ブランコを漕ぐと、何かひとつの動力を元にフワフワなる、
これは「重力と慣性の法則」とか、名前までは知らなくとも、
なんとなくなんでも数式なんじゃないかという意識はあり、
小さい時から、音楽とプログラムはずっと意識していたとのこと。

『学校は学校でずっと想像していましたね。うちの小学校の教室から見える場所に、
もう使われなくなった汽車が寄贈されておいてあったんですけど、
それをずっと眺めて想像していましたね。
例えば、算数の授業の時は算数のことを考えながら、
頭の中でその汽車に乗って旅に出る。
そうすると世の中算数に見えてくる遊びをしていた。
そのときに知っている計算ってたかが知れてますけど、
算数の頭で汽車に乗って旅に出るんです。そうすると街が違って見えて、
年収かもしれないし、そこに売ってる物かもしれないし、高低差かもしれないし…。
そういう風に考えてましたね。

授業は大半聞いてないですけど、でも算数とか俺、本当なんですけど、
習わなくてもわかったんですよ。
小学校の教科書ってすごくつまらなくて、
みんな知ってるのになんでやってるんだろう?とか思って授業中はヒマだった。』

大学は商学部会計学科に行った川田さん。

『これは露骨に理由があって、ゲーテがバランスシートの中に
人間の経験が書いてある、みたいなことをなんかの短編で書いていて、
「あ、そうだな」と思って。人間の営みが領収書とか数値になって
調号になって表れるっていうのは人生の譜面みたいだなって
ちょっと思ったことがあって、
興味を持ってやってみたんですけど、まぁ、向いてなかったですけどね。
単純計算があんまり好きじゃないので、
プログラマーっていうのは単純計算をしないために生きているのに
すごい単純計算しなきゃいけない。あと、だいたい授業やテストの時に
電卓タタターン!ってやるやつがいるんですけど、
殺し屋はサイレンサーを付けてるんですよ。静かにやれっていう感じですよね。
プロはサイレンサーをつけて、
静かにタタタタタ、タタタタタ・・・ってやるのに何をやってるんだ!
って思って商学から離れちゃいましたけど。』

最初の就職先はミシンメイカー。
ミシンは最先端で、川田さんがいた会社は、特に色んな技術の大本で、
最近だとスマートフォンみたいな緻密なものの中の基盤に
プロットするマウンターという技術を作っていたぐらいなのだそう。

++ Right now ++
仕事のお休みはここ10年ほどなく、
AR三兄弟をやり始めてからずっと忙しいといいます。
休みという休みがないので、頭の中の旅行を仕事にしているとのこと。
例えば、広島の広島電鉄という路面電車の初期の頃は
ドルトムントとかで走っていたような電車が走っており、
その電車が役目を終えて、博物館で眠っていたものを
ある施設で持ち出して、常設でそれを置こう!となったといいます。
その使い道を川田さんが考えたそうですが、
美術館や映画館が併設されているショッピングモールで、
その美術館とかと道を繋ぐ普通の道に電車を置いたとのこと。
川田さんはこの場所を想像の駅にしたいと思い、
誰かがスマートフォン越しに「どこどこに行きたい」とリクエストを出すと、
プロジェクションマッピングや色んな照明効果、音楽などを駆使して
そこ行きの電車が停まって、走り出すということを考えたそう。

『その時間になるとベルが鳴って、ちょっと辺りが暗くなって、
マッピングされて、そこにあたかも電車が来たかのようにやるっていう。
それの想像の電車越しに色んな都市に行ってますけどね。
頭の中で、その絵コンテ描いたりとか。
あと、今度ニューヨークに路面電車が走るんですよね。
ニューヨークに路面電車が走るってロマンチックじゃないですか、
それがまだ出来てないけど、それが出来たら、
こんな風景になるんじゃないかなって頭のなかで想像して走らせてみたり。
あとは、海底に潜っていく路面電車があってもいいんじゃないかと、
小さい頃から想像していたのと同じように電車を走らせていますね。』

小さい頃から考えていて、最近、技術的にも叶うと思っている設計は、、、

『電車がホームに来るじゃないですか、電車に乗ったあとに、
「あ、この電車、酒臭いな。1本ずらせば良かった」
みたいなことあるじゃないですか。
あれを先に察知できる仕組みを僕は思いついて、
それは電車の車内にアルコールセンサーという概念があって、
車両に1個それを入れてたら、車内のアルコール濃度がわかるんです。
あとは、温度を加えることで色が加わるペンキがあるから、
電車の顔のほっぺたのところが赤くなるっていう。
アルコール濃度が濃いと、赤い電車が入ってくると。
赤いと1本待とうかなってなる。』


++ From now on ++
AR技術の未来は、普通にインフラになってくるといいます。
決済や医療、行列を無くすための時間や空間を省略する技術のひとつの手段として
ARはインフラ化してくるのだとか。

『行列はすごい簡単に無くせて、エレベーターもずっと僕、憂鬱なんですよね。
ここに上るまでに「なにを待ってるんだろう?」という時間はなくせるんですよ。
例えば24時間、そのエレベーターが何時何分どこに止まっているか強化学習します。
で、だいたい人の流れって同じなんですよ。
だから、先にその時間帯のときは空いているエレベーターは
そこに移動しておくっていうことをプログラミングするだけで解消されます。
あと、牛丼屋さんが並んでいる時は、
お味噌汁の温度を1度下げるだけで回転率があがります。
熱くて待っている時間があるんですよ。
街にそういうものが膨大にあって、
それらをプログラミングやテクノロジーで解決するとすごい良くなりますよね。
無駄を排除すると空き時間ができるんですよね。
そこにちょっと面白いものをちょっと忍ばせたいなっていうのがARですね。
僕、今進めてるのは、車の運転ってどんどん手離れしてるでしょ?
ハンドルを握る時間が少なくなってくると、
ハンドルから手を放してもいい時間が増える。
っていうことは、空間の中で自由になる。
自由になる空間が移動しているんですよね。
で、その空間の中でしか体験できない物語っていうのはあるだろうなって
思っていて、例えば、信号待ちしてたら、ノックされて開けたら
警察手帳みたいなものを出されて、「ちょっと前の車を追って!」
とか言われて追うとか、そういう街の中で起こりうる色んなドラマの
ワンシーンなどのラビットホールみたいなものを車越しに仕掛けたらいいかな。
そういうものをシステム的にできるようなものを考えています。』

川田さんはJ-WAVEで「INNOVATION WORLD」という番組を担当していますが、
この番組のアシスタントはAI。
メインナビゲーターの川田さんがアシスタントのAIにすごく気を遣っているという
珍しい番組になりますので、ぜひ聞いてみてください!

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