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2019.6.22 Sat.

第169回 ファッションブランド 「andu amet」代表:鮫島弘子さん

ファッションブランド 「andu amet」代表で
チーフデザイナーの鮫島弘子さんをスタジオにお迎えしました。

andu amet|アンドゥアメット

「andu amet」は、エチオピアのシープスキンを使ったアイテムのブランドです。
さらに素材の調達だけでなく、
工場もエチオピアに構え、生産までを現地で行っています。
そして、事業を起こすことで、社会をより良くなることを目指し、
自然や社会に配慮をしてモノ造りをしていることも特徴です。

今回スタジオにお持ちいただいたカバンは、”Hug Hug”というアイテム。
思わず抱き締めたくなるような柔らかさです!

「見た目だけじゃなくて、五感で楽しんでほしいと思って、
 内側も全部レザーで、感触も匂いも楽しめるバックがコンセプトです。
 日本ではあまり知られていませんが、
 エチオピアは世界最高峰の羊のレザーの産地なんです。」


鮫島さんがエチオピアのレザーと出会ったのは、2002年。
鮫島さんは、もともと企業のデザイナーとして勤務された後、
”大量生産大量消費”に疲れを感じていたころ...
ボランティアで2年ほど滞在した時でした。

しかし、その素晴らしいエチオピア産の皮が、
現地に貢献できていないことも知ったのだとか...

「具体的に言うと、原皮(加工前の皮) のまま輸出してしまうと、
 その原皮がイタリアで鞣されると、イタリア産になってしまうし
 フランスで縫製されると、フランス産のカバンになってしまいます。
 原皮では、富ももたらさないし、技術も育ちません。
 支援に依存しているけれども、現地で何か出来るのではないか、と思ったんです」


そこでデザイナーの鮫島さんは、自身でデザインしたものを
現地の方々と一緒に造っていこうと考えるようになったのだとか。

ここ数年では、エシカル、フェアトレード、という言葉が知られるようになりましたが
まだ鮫島さんがブランドを立ち上げた当時はまだまだ浸透していませんでした。

ただ、言葉自体は広まってはいても、重要性を感じている人は
欧米に比べてみると日本は少ない、とも鮫島さんは実感されているそうで...

「店頭でも、お客様の反応は2極化しています。
 素晴らしいとファンになってくれる方もいれば、
 フェアトレードだから品質が落ちているのではないか、だから高価なんじゃないか、
 と粗探しをされるかたもいらっしゃいます。
 でも、それはしょうがない事だと思うんです。
 だから、私たちも”エシカル”とか”フェアトレード”を、
 店頭で表立って言わずにしてきました。」


そんな中、”ミッションを第一に”という価値観が
欧米のマーケットリサーチにあることを身を持って感じ、
これから日本のマーケットの価値観を変えていくことが使命と感じたのだとか。


そもそもエチオピアは、人類発祥の地とよばれ、自然豊かな国です。
ユネスコの世界遺産もアフリカの中で一番多く、人も美しい民族と言われています。

鮫島さんが住んでいるのは、都心ですが
アフリカの中でも最貧国の1つではあるものの、経済成長率は世界でもかなりの上位。
鉄道やビルがどんどん出来ている街中に、羊飼いと羊がいる、という混在する景色が
最近は見る事ができるのだそう。


「andu amet」の店舗は、表参道ヒルズの裏、神宮前にあります。
「andu amet」の商品はもちろんですが、鮫島さんがアフリカを回る中で出会った、
同じような志を持ち、”製造過程まで美しい”アイテムも並びます。

「動物の革っていうと、それだけで ”生き物の命を奪い取って作っている” と
 思われてしまう方もいると思うんですけど...
 エチオピアでは、羊が日常的に食べられています。
 だからこそ、皮も毛もツノも余す事なく、大事に使われています。
 ”ファー” "毛皮" そのものが良くない、というのではなく、
 そのアイテムの後ろには、どんなストーリーがあるのかを、一人一人が
 考えるようになれば、社会がより良いものになるんじゃないかな、と思います。」



鮫島さんの”明日を美しくするヒント”は、『ストレスを溜めないこと』。

「違和感を持った事を、そのままにしないで言葉にすることです。
 日本にいると、皆んな優しいから違うな、って思っても、
 言わないでおくじゃないですか。
 それって、自分もストレスだし、世の中も変わっていかないですよね。
 もちろんん、ただ、否定するのではなくって。
 言葉にすることで、相手を知る事が出来て、そこに新しい価値観が生まれます。」


これからも、活動応援しています!ありがとうございました!